TOEFL Mail Magazine Vol.55
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本シリーズでは、特色ある大学のトップの方々に大局的な視点から大学の運営、指導方針、授業の改善などについてインタビューさせていただいた内容をご紹介しています。

今回は、会津の地に立脚し、世界的視野で質の高い教育を実践し続けておられる
会津大学学長 角山 茂章氏にお話を伺いました。

プロフィール:角山 茂章(つのやま・しげあき)氏
角山 茂章氏 1943年 12月7日 東京生
1967年 東京大学理学部物理学科卒業
1997年 東芝原子力システム社 技監
2001年 アイテル技術サービス フェロー
2002年 会津大学 産学連携センター 教授
2003年 会津大学 副学長
2006年 会津大学 理事長・学長 現在に至る

英語教育について
-- 会津大学は国公立大学の中でも特徴的で、ソフトウェア教育に突出しているイメージが強いのですが、その中での英語教育はどのような位置づけですか。
 我々は会津大学を「ソフトウェア専門の国際大学」と位置づけています。ソフトウェア教育では計算機の言語を扱いますので、英語は必須です。翻訳したテキストを読んで、自分なりの研究をするのでは遅いのです。したがってビジネス・研究でWorking Languageとして英語を使える人材育成を目指しています。会津大学にいるときから異文化を意識して教育が行われ、国際語で議論し、勉強する環境が大事です。1-2年生のうちに身につけた基礎を糧に、3年生半ばから英語での授業が始まります。きれいな英語かどうかは別にして、専門家としてテクニカルライティングを身につけ、交渉力のある英語に育て上げるのが基本です。大学院は卒業論文も含め原則英語です。工学系でこのように英語の重要性をはっきりうち打ち出しているのは、日本では珍しいのではないでしょうか。
-- 学内で異文化を意識できる環境づくりは、具体的にどのように行っているのですか。
 まず教員の約半数が外国人で、質の高い教育を行っています。実際に英語が使われる環境を維持していくのが学生にとって大事なのです。日本国内で普通に生活をしていては、なかなか難しい。本学も学生は日本人が多いですし、教員も半数が日本人なので、日本語が使用されるのは当然なのですが、外国の人達とコミュニケーションしなければいけない環境がそこにあれば、英語を使う意識が生まれるのです。食堂へ行っても外国の先生がいる際には英語と日本語両方を混ぜて、途中でわからないことがあると日本語に戻ったり…、それでいいのです。だんだん、深まってくるわけですから。
 キャンパス内の外国人の割合が少なくなると、どうしても意識が下がりがちなので、維持するよう常に心がけています。福島県からも「50%以上は海外の先生を」という興味深い数値目標をいただいています。しかし数が多ければよいというものではありません。外国からの教師陣の質の高さにも本学は定評があります。
-- 外国の先生方の質を高く保つにはどのような工夫をされているのですか。
 採用の際には、専門の研究論文何本、といった多くの課題を出しています。英語の先生であっても、教育経験だけでなく教育研究のレベルも求めています。たとえば人が話しているときの舌の動きを超音波で計ったり、脳の機能を考えながら言語学をどうやって教えるかなど、研究しながら生徒に英語を教えます。自身が研究をしている先生でないと、本学の英語の先生は務まらない。レベルは自動的に高くなります。
 ありがたいことに、公募すると国内外の質の高い先生方がたくさん応募してくださいます。本学は英語教育と研究の環境がいいと、人気があるようです。
-- 外国人の先生がそれだけ多いと、先生方の日常生活のサポートはどうされるのでしょうか?
角山 茂章氏インタビュー 本学には普段の生活の面倒を見るための日本語と英語がわかるスタッフがいます。たとえば外国の先生が来日するとすぐに、まず免許証をどうするなど、普段の生活がすっとなじめる仕組みができています。これも小規模な大学であるが故に実現できるのでしょう。教授会も、英語と日本語との順番で議事録が記録されます。手間もかかりますが、会津大学の大事なセールスポイントになっています。本学に来ていただく方に、英語が理由で二の足を踏んでもらいたくはありません。ですから受け入れ側として、英語で全部対応できるシステムになっています。「国際大学」というのは、外国の先生が日本語で授業するのではありません。英語しか話せない先生が、日本に来て授業ができる必要があるのです。

-- 交換留学プログラムはどのように進めていますか?
 今年から、修士までの工学関係の教育中心の大学で、8年間ナンバーワンの評価を受けている米国のローズハルマン工科大学と積極的に交流を始めました。2006年9月にはローズハルマン大学に5人ぐらい短期訪問で送りました。大学の必修なども厳しいので、時間的に長期は難しい。学部生の間は、単位を取得しなくても経験するだけでもいいと短期を始めました。特に現地の大学で非常に厳しく学んでいる向こうの学生を目の当たりにするだけでも、学生に刺激になっていいと考えたのです。この間も教授会で、帰国した学生が英語で報告をしてくれて、そのくらい自信をつけて帰ってきたのだとわかり嬉しかったです。
  受け入れの計画も現在進行中です。アジアの文化を日本で勉強したいという要請がずいぶんありますので、会津らしく剣道を受けさせてもいいかなと考えているところです。本学にはロイヤルファミリーの前で、模範演技をできるような会津の伝統を継ぐ剣道の先生もいます。学生の受け入れも教員同様、本学だと日本語を知らなくても安心して送りこめるという理由で、海外の大学から引き合いが多いです。現在は申し出がありすぎて、整理をしているところです。会津大学の特徴を出せるパートナーを選ぶ、中小の質の高い大学と組むなど、目標をはっきりもって、交流を深めたいですね。

TOEFLテストについて

-- 20067月よりインターネット版TOEFLテスト(TOEFL iBT)が日本でも導入され、読む/聞く/話す/書くという、コミュニケーションに必要な4技能を総合的に測ることができるようになりました。TOEFL iBTでは、貴学には試験会場としてご尽力いただいています。貴学の学部生、大学院生の方からも、自分の大学が会場になってよかったとの声が聞こえました。
 
貴学の求める英語力として、TOEFLテストも一つの基準としてとらえられているようですね。

 TOEFLテストが求める英語力は社会に出てからも要求される能力ですので、「なるべく受けるように」という方向性をはっきり示しています。普段から国際標準で授業を行っている会津大学は有利かもしれません。大学院入試時にはTOEFLテストのスコアを任意で提出させています。
 学部の英語試験の問題も日本の他大学とは異なり、ネイティブの先生が多い語学センターで作っているので、形式はペーパー版TOEFLテストに似て問題数も多いです。高校には「一般的な日本の入試の問題よりもTOEFLテストに近いので、TOEFLテストを意識して受験勉強してください」という紹介をしています。そうでないと、時間の配分などに不慣れで驚いてしまいます。米国の試験だと長時間のものもありますので、日本の学生もそれぐらい耐えられる体力を育成しないといけない(笑)。

ベンチャー会社の育成
-- TOEFLテスト会場となっている産学イノベーションセンターの設備は最新の機器が揃っていて、驚きました。
角山 茂章氏インタビュー 産学イノベーションセンターには、会津大学のベンチャー会社が公式には現在19社あります。その中の4、5社は卒業生が社長です。一番大きい会社の社長は初代卒業生で、社員100名ほどの規模になっています。本学はITが専門分野ですので、ベンチャー会社の育成も大事なミッションです。まだ全体で年商30億円台ですが、もっと大きくしていかなければならないですね。現役の学生が社長の会社もありますよ。売れ始めて忙しくなると、休学届を出すのです(笑)。両立はやはり難しい。私はそれこそ、会津大学らしいと考えます。落ち着いたら、また戻ってくればいい。
 今の卒業生には、通常の会社へ入りたいか、ベンチャーへ行きたいか、二つの大きな流れがあるようです。「一流会社へ行けないからベンチャー」というわけでなく、「ベンチャーの方が好きだ」という優秀な学生もたくさんいます。
-- 貴学の学生には自由に活動できる機会が与えられているのですね。
 その通りです。ベンチャー会社があると、アルバイトで実践的な経験を積むこともできます。その後自分も卒業して会社を作ってしまったりします。
 
そんなに人数は増えないのですが、質のいい学生がこの地域に残ることはいいことです。今までは、東京に行けない学生がここに残るという実情もあったと思われますが、ベンチャー会社ができたことによって、自然と優秀な学生も、高い志を持って会津に残るようになりました。この流れは素晴らしい地域貢献になります。ITだと大きな投資はいりません。とても性能のよいコンピュータを買う必要もない。ただ産学イノベーションセンターのコンピュータをシェアして、やりたいことを自分たちの力だけでやればいいわけです。

Local Doing, Global Challenging
-- グローバルでありながら、しっかりローカルに根付く。単に外にばかり目が向いているというわけではない。それが貴学の成功の秘訣なのですね。
 先日東京でフォーラムを開催した時も、「Local Doing, Global Challenging」というタイトルで行いました。志はいつも世界に向いて目を開いていて、しかし普段の活動は地域に根ざしていきたい。志と研究は世界レベルで、目標を高く持っていたい。そのためにやはり英語は必要不可欠ですね。
 会津盆地全体の町長さんや市長さんの会津大学に対する期待も大きいようです。地域と一体になっているというのも、あてにされないよりはずっといい(笑)。福島県が大きな教育投資をしてくれました。質を保ち続ける努力が一番大切なので、実績を作っていきます。ここ十何年間で、先生、学生、卒業生など人が財産です。
-- 地方に位置する利点は何ですか。
 先生方が大学にいる時間が長いことです。通勤時間がほとんどいらない(笑)。細やかなHands-onの教育ができる、しかもこのキャンパス自体が国際的な環境というのが、会津大学の大きな特徴です。
 留学生や海外からの訪問者にも、温泉などがあるこの場所が東京よりもいいと喜ばれます。私はよく「カリフォルニアのキャンパス」と表現します。気温は全く違うのですが、色は似ているんですよ。雪が降るとさらに綺麗です。白銀に覆われた会津大学キャンパスの方が好きだという人も多いですよ。若い人だったら30分でスキー場へ行く。今度来るスウェーデンの生徒も喜んでいます。勉強とキャンパスライフが両方楽しめるので、積極的に勉強しようとする人にはちょうどいい環境ではないでしょうか。この辺に住む教員は、スキーのシーズン券を買って家族で行ったりしているようです。

法人化による変化
-- 公立大学が法人になってから、変わったことは何ですか?
角山 茂章氏インタビュー まず人事採用です。以前は教授を募集する際に全て個別交渉が必要でした。今は全体の枠は決められていますが、一括して行えます。以前より時間が短縮されたことが一番の変化です。また、法人になって大学が自分の財布を持てました。
 大きな大学は、やはり法人化しても変革が遅いようです。ある学科が新しいことを始めるといっても、全学である程度トーンが合わないと実現しない。会津大学など中小の大学は、思い立ったら半年ぐらいで準備して、諸所の手続きを含めても意思決定は迅速です。
 米国ニューヨーク州バッファロー工科大学から、双方のDual Degreeがあった方がいいという希望が出ています。これも数ヶ月で仕組みをつくり、2007年春を目途に早い段階に対応し、交流を具体的に始めたいと思っています。

 今のような変革の時代には、中小の優秀な大学が今後日本で大事な役割を担うようになると思います。会津大学も、IT分野だけなら他大学を超えていると自負があります。ソフトウェアの情報学科をもつ大学は世の中にたくさんありますが、情報学科だけを見ると、多くの教員はいません。会津大学は100人規模の人材がいます。規模は小さいですが、その部分では比較的大きな大学なのではないでしょうか。今後もっと鮮明に特徴あるITの教育を行い、特色ある人材を輩出していくことが会津大学のミッションです。
 海外の先生や国内民間会社の研究機関の人を呼んで、実践的なソフトウェアの経験など、仕事の内容をお話いただくことも実現させたいと思っています。今までより本格的に体系立って行う準備を始めています。今まで短い13年の歴史の中で辞めていった海外の多くの先生方とも普段から連携をとっていますので、大きなネットワークになっており、機能しやすい。その先生方を招致し、短期集中で最新の技術の研究内容を講義していただくのです。
 昨今、国家も日本からソフトウェアをリードする人材が輩出されないという問題意識を持っていると聞きます。会津大学の学生には卒業したら国際語で仕事をし、おおいに活躍してもらいたい。

-- ありがとうございました。
(インタビュー:2006年11月20日 TOEFL事業部 部長 高田幸詩朗)

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