TOEFL Mail Magazine Vol.38
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ユーザレポート「教室からの声」
第3回:TOEFLテストITPユーザー 横浜国立大学 教育人間科学部教授 高橋 邦年 先生
 
 プロフィール
TOEFLテストITPユーザー 横浜国立大学 教育人間科学部教授 高橋 邦年 先生
高橋 邦年(たかはし・くにとし)先生

横浜国立大学 教育人間科学部 教授
大学教育総合センター英語教育部兼務
担当:英語学・英語

専門:
英語学。理論言語学。
著書・論文:
『アメリカ日常語辞典』(共著、講談社)
 

Some Puzzles on VP ellipsis
(『意味と形のインタフェース』くろしお出版)

  『ユース・プログレッシブ英和辞典』
(共著、小学館) ほか

このコーナーでは、TOEFLテストの実施運営団体であるETSのプロダクツをご利用いただいている高等学校・大学での導入事例を、現場の教室からお伝えします。

ETSプロダクツとは、TOEFL-PBT(Paper-Based Testing)テストの過去問題を使った「団体向けTOEFLテストプログラム:TOEFLテストITP」や、インターネットに接続できる環境があればどこからでもアクセスができ、短時間で採点とフィードバックを自動で行う、ライティングの授業には欠かせない「オンライン・ライティング自動評価ツール:Criterion」など、現在日本国内のみならず世界の教育現場の皆様に多くご利用 ・ご活用いただいているETS開発のテスト・教材です。

今回はTOEFLテストITPを導入されている横浜国立大学高橋邦年先生からのレポートです。

 
 横浜国立大学-------------
横浜国立大学
同大学は現実の社会との関わりを重視する「実践性」、新しい試みを意欲的に推進する「先進性」、社会全体に大きく門戸を開く「開放性」、海外との交流を促進する「国際性」を建学からの歴史の中で培われた精神として掲げており、特に「国際性」については、世界を舞台に活躍できるコミュニケーション能力を持ち、異文化を理解する人材を育成するとともに、留学生・研究者の受け入れ・派遣を促進し、教育と研究を通じた諸外国との交流の拡大を図ることを目指している。
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 横浜国立大学の英語とTOEFL®-ITP
 1. 横浜国立大学の英語教育
 本学では、英語T(通常1年次生が履修)および英語U(通常2年次生が履修)において技能別のクラスを設定している。全国の国立大学に先がけて、旧来よりS (Speaking) クラスはすべてネイティブスピーカーによる指導を行っている。また、学部によっては英語Uのクラスを選択制にしてあり、個人の希望に合わせて、得意な技能をさらに伸ばしたり、不得意な技能を補強したりできるようになっている。英語Tは英語の基礎力を養うという全学共通のカリキュラムによっているが、英語Uおよび英語V(通常3年次生が履修)は学部ごとにそのニーズに合致するようなカリキュラムの編成を目指しており、数年ごとによりよい方向へ変貌している。
 平成15年度に設置された大学教育総合センターという組織の中に英語教育部というセクションがある。現在はそこを中心に全学的に英語を特化した形で英語教育に取り組んでいる。とりわけ、同センターの設置にあいまって、英語TのSクラスについては約20名という少人数制を達成した。(実際にはいくつかのクラスでは再履修生が若干名ずつ上乗せされている。)Sクラスがたとえば50名というようなかつての悲惨な状況は解消され、話す順番の回ってこないSクラスが、毎回何度も話さざるをえないSクラスへと大変身した。
 英語教育部では、英語TのWriting用テキストとCDおよび英語TのSpeaking用のCD-ROMを今年度試用できるように作成した。これらは統一テキスト、統一教材としての使用を目途として作成されたものである。
また、平成18年度に向けて、現在、教養教育の見直しを進めているところである。英語のカリキュラムもかなり変わる予定である。たとえば、英語を基礎力養成用の実習と専門知への架け橋用の演習とにわけることになっている。

 2. TOEFL®-ITP導入の経緯
 どの大学にも"仏のXX先生"とか"鬼のYY先生"が多かれ少なかれいるようである。本学では、必修あるいは必修に近い割合でほとんどの1年生が英語を履修する。英語は同じ科目名の授業が多く開講されるが、内容・レベル・成績評価が教員ごとにかなりばらついていることを反省材料とし、より客観的かつ公平な成績評価をめざそうという全学的統一見解がえられた。その流れの中で統一テストを実施する案が浮上してきた。学内で統一テストを自作すべきであるという意見もあったが、そのようなテストでは評価の安定性を必ずしも保証できないこと、学外との比較はほとんど不可能であること、作成スタッフの安定的確保が困難であると予想されたことなどの理由でその意見は見送られた。その結果、外部テストを利用することとなった。
 議論を重ねた末、4つある英語Tの一つ(ここでは英語ITPと呼んでおく)をTOEFLテスト受験対策用の授業とし後期に開講し、英語Tを履修する学生全員にこの授業を履修させ、統一テストとしてTOEFLテストITP Level 2を受験させることにした。全学的な取り組みであるので、学期末の試験期間のうちの1日を英語T統一テスト日とし、その日はその他の授業や試験は一切行わないこととした。約1600名の学生を半分にわけ、それぞれ午前か午後に受験させるようにした。
 受験費用は教養教育の予算でまかなわれている。校費を投入するについては否定的な意見も強かったが、英語関係教員が全面的に統一テストの運営に関わるという条件でこの措置が決まった。5名程度の英語教員が統一テスト実施委員として準備段階からかかわりをもち、その他の英語教員は統一テスト当日の監督官にあたるという体制をとっている。不足する人員は大学院生をTAとして臨時採用し補充している。
 他の外部テストではなくTOEFLテストを選定した理由は、成績の標準化を図るのに十分適切であると判断したからである。すなわち、TOEFLテストは、世界的にも定評があり、成績評価の安定性が保証でき、そのスコアは学外との比較も可能であり、大学生に必要な英語力を十分適切に測定できるものだからである。TOEFLテストITP Level 1でなくTOEFLテストITP Level 2にしたのは、試験の所要時間試験の短さである。午前と午後の2回に実施であり、外部に委託せず、教職員で運営しているので、約70分で終わるLevel 2を選択した。Level 2は500点までしか測定できないというデメリットがあるが、500点を取るのは一部の学生に限られるであろうという予想に基づいて、大きな支障はないであろうと判断した。実際のところ、500点を取る学生は約5%であるので、予測の範囲内である。

 3. TOEFL®-ITP実施による効果
 本学では、平成13年度(2001年度)より4年間にわたりTOEFLテストITP Level 2を利用してきたが、各年度の平均スコアは、平成13年度が450点、平成14年度と平成15年度が443点、平成16年度が452点であった。どの年度も平均点より若干右側を中心とするきれいなベルカーブを描いている。(もちろん、Level 2では500点を超える部分の裾野は表示されていない。統一テストを受験する学生の中には帰国学生も含まれているので、Level 1を採用すれば右の裾野もなだらかに延びるであろう。)
 平成13年度の平均点もほぼ同じ450点であったことについては、約60名の学生が受験を放棄したことが関係しているのかもしれない。その中に英語の不得意な学生が相当数含まれていたとすると、平均点に少なからぬ影響を与えたはずである。これらの学生が受験していたら、平成13年度の平均点も443点程度であった可能性がある。この推測が正しいと仮定すると、統一テストを開始してから4年目にしてスコアが9点も上がったことになる。平成13年度のことはさておいて、平成16年度がもっとも平均点が高かったわけだが、その理由としては、同年度よりGPA制度が導入されるとともにどの授業も放棄できなくなったこと、推奨テキスト(指定ではない)を1冊に絞ったこと、教える側の授業方法が安定してきたことなどが功を奏したものと思われる。ちなみに、英語ITPはTOEFL Level 2のスコアだけに基づいて成績評価をしている。

 4. TOEFL®テストITPの利用状況
 現在のところTOEFLテストITPのスコアは以下のように利用している。まず、経済学部では英語V(Advanced)というクラスを設定しているが、ITPのスコアの上位者は2年次に英語Uをスキップし、このクラスを履修する。工学部の英語Uは選択制であるが、履修希望者の多いクラスではTOEFLテストITPのスコアのより高い学生に優先権を与えることになっている(が、実際には、複数のファクターでクラス分けをしているので、残念ながら十分に機能していない)。教育人間科学部の英語Uも選択制であるが、履修希望者が比較的少ないので、スコアを利用するまでもない。また、担当者にスコアをフィードバックすることで、授業を通じて担当者が下した評価とITPのスコアの比較ができ、授業方法の改善に役立てることができる。学生にも後日スコアを配布しているが、その後CBTのTOEFLテストやTOEICテストを自分で受験する引き金になっている場合がかなりあるようである。事実、大学生協で実施しているTOEICの受験者数の増加がここ数年著しい。
 今後のTOEFLテストITPの利用については、まだ十分に検討していないが、平成18年度からの新しい教養教育の体制の中でより効率的な利用方法を考えていきたいと思っている。
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