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前回に引き続き、インタビューは大阪府立和泉高等学校 校長である中原 徹先生です。2010年に全国最年少の校長として大阪府立和泉高等学校の校長に就任された中原先生。TOEFLテストの学習を授業導入するなど、民間人校長として取り組まれている教育改革についてお話を伺います。

中原 徹 校長

中原 徹

大阪府立和泉高等学校 校長

  • 1970年4月26日 神奈川県横浜市生まれ 41歳
  • 早稲田大学法学部卒/ミシガン大学ロースクール卒
  • 東京永和法律事務所で弁護士を務めた後渡米。
  • Pillsbury Winthrop Shaw Pittman 法律事務所(ロサンゼルス事務所)で10年間勤務。
  • 2009年 大阪府教育委員会公募の民間人校長に応募し採用となる。
(参考)
[Pillsbury Winthrop Shaw Pittman LLP(ピルズベリー・ウィンスロップ・ショー・ピットマン法律事務所)] 東京、ロンドン、シドニー、上海を含む海外ならびに全米の主要都市に15のオフィスを構え、約800名の弁護士を擁する世界規模の総合法律事務所

大阪府立和泉高等学校 校長 中原 徹先生
民間人校長の新たな教育改革について その2

和泉高等学校 校長としての新たな教育改革について

編集者:
ありがとうございました。ところで、校長としての中原先生の任期をお伺いします。
中原校長:
僕の任期は最低3年、最高5年です。
編集者:
中原先生のブログを拝見していまして、和泉高校ではボランティアも積極的にとりいれていると拝見しました。そういった体験を通して、学校外の方と接点を持つと、生徒さんも変わりますか?
中原校長:
はい、ボランティアもいろいろやっています。年齢や、住んでいる環境が違う人と触れ合う機会は、高校生では特に少ないです。日本の高校生の大半は、同じ年齢で、同じ趣味を持ったクラブの仲間とほぼ毎日のように過ごしているわけです。それでは、いろいろなことを解決する必要性が低いと思うんです。しかし社会に出るといろいろな年齢、環境、そして利害の対立する人とも会っていかなくてはいけない。学校内だけだと、なかなかそういうことにさらされにくいので、ボランティアをとってもそうですし、外国人と接する機会も増やしてきていると思います。去年5月に約200人の韓国人生徒が数時間ですが和泉高校に遊びに来ました。その時は韓国の高校生と和泉高校の生徒をペアにして学校を案内したり、クラブ活動を一緒にしました。それから上海にも有志の生徒を連れて行き、現地の高校2校と上海大学の英語・日本語の授業等に参加しました。イギリスとの短期交換留学プログラムの一環として今年の秋にイギリスの高校生達が交換留学で来ます。その他にも今アメリカとオランダの子が一人ずつ、長期留学、中期留学生で来ています。その子たちは、英語超人クラス(後述しますようにTOEFLを勉強する特別クラスです)にいつも参加しています。理想を言えば、わが校は1100人の生徒がいますが、そのうち30人くらいは外国人留学生が常に滞在している、それくらいになるといいですね。外国人と接しないことには、この学校ではなかなか生活できないぞという学校にできたらいいですね。
編集者:
韓国の生徒さんが来られたということですが、韓国の生徒さんは日本語も出来る生徒さんもいらっしゃったのではないですか?
中原校長:
はい、日本の生徒の前で、韓国人の生徒が流暢な英語で喋ってくると、うちの生徒達は躊躇してしまうんです。そうすると、「あ、英語で話してもダメだ」と思ってその韓国の生徒達は、今度は日本語で喋ってきたという、ものすごい言葉の波状攻撃を受けましてね、驚きました。
編集者:
それはすごいですね。
中原校長:
そのとき生徒に「ああいう人たちが関西空港で働きたい」って言って 300人とか1000人とか応募してきて、君が関西空港の社長なら、君とあの子達とどっちを採る?」と聞いたら、その生徒は、「彼らを採る」と言うんです。だから僕は、「そうでしょ?それはまずいでしょ?」と話をしました。
編集者:
そういう体験をしてみて、はじめて「ああそうかもしれない」と、考えだすということですね。
中原校長:
でも、誰にもわかるくらい危機が顕在化したときには、そこから取り返すのは遅い状態になってしまっているんです。教育現場で「競争」というと嫌がる人がいますけど、公平な条件の中での適正な競争がないと、人類の発展はありえません。
編集者:
そうですね。企業でも、官公庁でも、学生の世界でも、自己研鑽をやっていく中では、競争は常にあるべきだと思います。もちろん、ドロップした人間がいたら、救済は必要ですが。
中原校長:
競争中に転んじゃった人は誰かが立たせてあげる、また走り出してもらうための、精神的、経済的、身体的、物理的なバックアップはすべきですが、転んだまま立たないでもずっとやっていけるような体制をつくることは正しいバックアップではないですから。
編集者:
先生のおっしゃる通りです。さて、TOEFLテストの学習を授業に導入されたということで、今後の和泉高校の方向性について、お伺いできますでしょうか?
中原校長:
はい。実は、今年の9月にTOEFL ITPをうちの高校2年生18人に受けてもらいました。18人中、510点以上取った生徒が2名出ました。460点以上の生徒が6名(累計)出ました。和泉高校におけるTOEFLの授業の名称は「英語超人」というのですが、上記18人の生徒は、英語超人の生徒ら(高校2年生)でした。彼らは、授業としては今年の4月から、つまり6か月弱しかTOEFLの勉強をしていないことになります。にもかかわらず、510点以上を取った生徒が複数出たのはすごいことだと僕の中では思っており、がんばった生徒らに本当に敬意を払います。TOEFLの専門家を前に釈迦に説法ですが、日本で国際教育に力を入れている難関大学では、大学1年生の間に550点を取りなさいと指導し、英語を強化しています。この事実に照らせば、高校2年生の9月に510点以上取ることはいいペースだと思います。和泉高校は、所謂「超」進学校ではありません。それでもこれだけの結果を出せるのです。日本人が挑戦していないだけで、日本人ならきっとやれます。「外国にできて僕らにできないわけがない」、そういう気概をいまこそ若者に持って欲しいです。ホントに。

編集者:
来年度はコースとして新設されると伺っています。
中原校長:
そうです。来年の4月には、1年生80人がTOEFLの勉強を始めます。来年の2年生は24人が校内の選抜試験に受かり、英語超人(2期生)としてTOEFLを勉強します。今の2年生は3年生になっても英語超人(1期生)としてTOEFLを勉強し続けるので、来年は全学年でTOEFLに向けて勉強する生徒がいるということになります。
編集者:
次に、TOEFLテストに取り組んでいる学校ということで、他の学校との連携についてはいかがでしょうか。
中原校長:
はい、それはこれからもっと広げて、複数の学校の先生同士が抽象的な情報交換をするに止まるのではなく、もっと具体的に、例えば、「この問題集の25ページから48ページをやったらよかった」、「こういう順序で教えたら生徒の理解がよかった」など 個別の教授法についての勉強会ができるようなアライアンスを広げていきたいと思ってます。
編集者:
中原先生の活動が全国に広がれば、何か変わりそうな予感がします。
中原校長:
何としても変えたいですね。変えるためにはみなさんのパワーが絶対に必要です。TOEFLテストの取り組みを100並べたところで『面白いなぁ』で、終わってしまいます。でも、どこどこの県で1年間にTOEFL iBTで80点以上を取った生徒が50名出たとか、300名出たとか、そういった結果が必要です。そういう分かり易い強烈な結果は1行でみんなが理解します。たった1行の活字がおどるわけです。それだけで何の説明もいらないわけですよ。校長や先生や生徒もみんなやっぱりまず「記録」(結果)にこだわらなければだめですよね。教育現場では記録や結果を嫌う一定の先生がいますが、記録(結果)にこだわることと、記録(結果)が出なかった生徒に引き続き手を差し伸べて引っ張り上げることは完全に両立します。人生には何回でもチャンスがありますから。「記録」や「結果」から逃げているのは実はそういう後ろ向きな先生だったりするわけです。

TOEFLテストに関わる全ての方々に向けて

編集者:
さて中原先生の改革はこれからも続いていかれると思いますが、最後にTOEFLテストを受けよう、あるいはそれに関わる教育者の方々へのメッセージをいただけますか?
中原校長:
まず、TOEFLにこれから挑戦して、世界というステージで活躍してみたいと思っている若者の皆さん、小さいお子さんも含めて、それは絶対間違っていないと僕は思っています。僕に言われても安心できないかもしれませんが、それは100%正しい方向を向いて走っていると思って、その正しい方向でひたすら走り続けて欲しいです。世界レベルで競争相手やライバルを探せば上はいくらでもいますから。どんどん世界に飛び出して、大暴れして欲しいです。先ほどもお話したように、TOEFLを勉強しつつ日本の大学に方向転換したいということになってもいつでもできる。昔、漫画「巨人の星」で星飛雄馬の大リーグボール養成ギブスというのがありましたが、ギブスを外したらすごい球を投げられたというのと同じです。日本の教科書をずっと閉じたままTOEFLをひたすら勉強していって、1、2年頑張って、さあそろそろ受験勉強しようと思って、センター試験の問題を見たら、試験の易しさにびっくりすると思います。そういうものですから、TOEFLテストはやって損はないし、まさに英語の大リーグボール養成ギブスですよ。

編集者:
大リーグボール養成ギブスは大リーグに行くためのギブスですから 目指すものがあって、そこに行くためにはそれをやるしかない、というお考えにはとても同感です。
中原校長:
そうです。ですので、まずはわき目もふらずTOEFLに向けて勉強して、ハイスコアを出して、それを切符にして将来活躍していく方向性で間違いはありません。どうしてもぴんと来ない人は、漫画「巨人の星」の大リーグボール養成ギブスの該当箇所を読んでいただければ 「こういうことか!」とわかります。先生方にとっても同じ話です。入試には絶対にマイナスにならないし、TOEFLでは話す試験がありますから、話す機会も増えてくる。(TOEFLを教えるのは教材作りも含めて)大変なんじゃないのか?と言われるかも知れませんが、ETSが出版している対策問題集もあるし、市販の問題集・解説本はたくさんありますから、取捨選択した上でそれらを組み合わせて自分のオリジナル問題・解説も加えながら教える準備をすれば、プロの英語の先生ならそんなに時間は掛からないですよ。そういう意味で TOEFLは、すごく可能性を広げられるツールであり、生徒にとって良いプレゼントになるというか、百“利”あって一“害”なしという話なわけです。生徒のためを考えるなら、一刻も早く、一日でも早く取り組んでいただきたいですね。 
編集者:
ありがとうございました。先生ご自身の経験に裏打ちされた、「だからこうなんだ」という、実体験でおっしゃられているので 言葉に重みがあります。今日はお忙しいところありがとうございました。

–「大阪府立和泉高等学校 校長 中原徹先生
民間人校長の新たな教育改革について その1」–全2回
102号– 「渡米経験で見えてきた日本の姿、そして今後の日本のために出来ること」

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