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For Lifelong English

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様々な世代の人々が様々な場で、生涯を通して何らかの形で英語にかかわって仕事をしています。英語は人それぞれ、その場その場で違います。このシリーズでは、英語を使って活躍する方にお話を聞き、その人の生活にどう英語が根付いているかを皆さんにご紹介し、英語の魅力、生涯にわたる楽しさをお伝えしていきます。英語はこんなに楽しいもの、英語は一生つきあえるもの。ぜひ英語を好きになってください。

第45回 For Lifelong English
– 「大学のグローバル・ランキングについての一考」

鈴木 佑治(聞き手)

鈴木 佑治 先生
立命館大学生命科学部生命情報学科教授
慶應義塾大学名誉教授

今年の9月初旬に久しぶりにイギリスを訪問しました。2006年に訪問した時は、1ポンド250円の為替レートに物価高が追い打ちをかけ、飲料水1本がなんと270円もしました。今回は1ポンドは120円で5年前の半分以下にまで下がっていました。為替市場が乱気流に巻き込まれてダッチロール状態にあるのではないかと思わざるを得ません。こんな中で、ある名門大学を訪問し色々話をうかがうことができました。経済の悪化に伴い各大学は予算切り詰めを余儀なくされ、教職員の中には先行きを案じて退職される人が多いとのことでした。低所得層の増加プラス授業料の急激な値上げなどを背景にイギリス人学生の数が減る中で、生き残り策として多くの留学生を招かざるを得ないことがひしひしと伝わってきました。留学生の質と大学の質は比例するとのこと、教育と研究の質を維持しながら優秀な留学生をたくさん呼び込むことに目標を定めているようでした。中国発行の世界大学ランキング(http://www.shanghairanking.com/)を何度も引用していたので、ランキングにはことさら神経をとがらせている様子でした。

そんなイギリス以上のランキング社会はアメリカです。Barron's Profiles of American Collegesは、有名大学の売店の書棚の一番目立つところに並べてあり、その中に大学ランキングが載せてあります。大学の下見に来る高校生や保護者をターゲットにしているからでしょうが、それなりに自信がないと置けない代物です。全米約2000の大学をSATのVerbal(英語)と数学(mathematics)のスコアなどを中心に、Most competitive, Highly competitive, Very competitive, Competitive, Less-competitive, Noncompetitiveにランク付けしています。これ以外に音楽や芸術などの単科大学をリストしたSpecialというカテゴリーがあります。Most competitiveが50大学、Highly competitiveが100大学あります。Highly competitiveの大学の中にはノーベル賞受賞者を何十人も輩出している州立大学もありますから、競争の激しさを垣間見ることができます。これらのトップ・ランキングの大学にはたくさんの留学生がおり、アメリカ人学生で占められていたかつての様相とは一変しました。学部以外に大学院のランキングもあります。特にプロフェッショナル・スクール(professional schools) のbest medical schools, best law schools, best business schoolsなどのランキングは有名です。

こうしたランキングも気になるところですが、グローバル化ということで考えてみるとこれだけではあまりピンときません。グローバル社会のランキングは確固たる基準があるわけではなく人々の意識で決まります。一つの方法としてインターネット上のWebページへの検索ヒット数を調べてみることです。もちろんヒット数をもってグローバル・ランキングの指標と見るのは短絡的かもしれませんが、人は関心をもつWebページを検索するので、ヒット数は人々の関心を表す指標とも言えるでしょう。Google.com in English (http://www.google.com/)で世界の主要大学のヒット数を調べてみると、どの大学が学生の人気を集めているか一目瞭然です。思いつくままに世界の主要大学の検索ヒット数を調べてみると、2011年10月19日現在、以下の数字が出てきました。なお、大学名は公式サイトの表記を使用しました。

  • The University of Paris: 846,000,000 (パリ大学は第1から第13まで細分)
  • The University of Paris 4:743,000,000 (パリ第4大学The University of Paris-Sorbonne)
  • Dublin University: 115,000,000
  • The University of Pennsylvania (Private): 70,800,000
  • The University of Chicago (Private): 57,400,000
  • The University of London: 56,800,000
  • The University of Oxford (Oxford Universityは俗称): 54,300,000
  • Harvard University (Private): 49,300,000
  • Columbia University (Private): 47,700,000
  • The University of Rome: 47,200,000
  • The University of Cambridge (Cambridge Universityは俗称): 44,800,000
  • Stanford University:35,300,000
  • Princeton University:28,300,000

ちなみに、Barron社のランキングでmost competitiveとされたアメリカの大学には、30,000,000~15,000,000のヒット数があります。お隣の韓国のソウル大学は53,100,000 です。日本では The University of Tokyoが11,200,000、 Kyoto Universityが5,800,000、Nagoya Universityが 3,890,000、Osaka Universityが3,630,000、Tohoku Universityが1,980,000、 Hokkaido Universityが1,910,000、 Hiroshima University が1,740,000、Kyushu Universityが 1,650,000です。私立大学ではKeio Universityが1,940,000、Waseda Universityが1,840,000で、それ以外の国公私立大学の多くは800,000~100,000程度です。もちろん、日本のどの大学もGoogle Japan (http://www.google.co.jp/)で検索してみると、比較にならないほどのヒット数があります。しかし、Google.com in Englishでのヒット数では少ないということは、日本では多くてもグローバル社会全体での反応が少ないことになってしまいます。

もちろん英語圏の大学のヒット数は母国語であることから高いと言えます。しかし、非英語圏のヨーロッパ、アジア、中南米の大学も英語で情報発信しており、日本の主要大学と比べ物にならないヒット数があることが分かります。また、ParisとかMadridとかRomeなどの地名が入るので、例えば、必ずしもThe University of RomeだけではなくRomeという名称をもつ大学、その他の機関が入っているのかもしれません。しかし、それらを差し引いてもすごい数になることは確かです。

筆者らの英語プログラムThe Project-based English Program(http://www.pep.sk.ritsumei.ac.jp/)は情報発信型のプログラムであることはすでに紹介しましたが、今年度からは若手講師陣の主導で、学生の同意を得てFacebookによる情報発信も始めましたGoogle.com in Englishでthe project-based English programと打ち込むと、筆者らのプログラムを含めて世界中で類似の名称をもつ全Webページのヒット数125,000,000という膨大な数が出現します。the project-based learning(プロジェクト型学習)というlearning methodそのものが幅広く行われてきた学習方法論ですから、当然のヒット数と言えます。そんな膨大なヒット数を持つ全リストの中、筆者らのWebページがトップ付近にリストされております。インターネット上の書き込みにはヒット数が多い順番に並べてあると記されていますが、正確な数は不明です。しかし、かなり多くのヒット数があることは間違いないと思われます。

単に数を発信すれば良いわけではありません。量より質であることも確かです。しかし、情報が伝わらなければ知ってもらえません。まず知ってもらうことから始めるとしたら、インターネットのヒット数は無視できないのではないでしょうか。世界がすごいスピードでグローバル化している様子が見て取れます。インターネットなどでの情報交換が大学の命運を握る時代が来るかもしれません。前々回に加藤寛先生が言われていた「新幹線」、「在来線」、「トロッコ線」をグローバル規模に広げてみると、グローバル戦略次第では「トロッコ」線路を走る大学がグローバル「新幹線」を突っ走る大学に変身するかもしれません。逆に「新幹線」を走る大学がグローバル社会では「在来線」を走ることに甘んずることになりかねません。

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