THE WORLD IS OUR CLASSROOM. JOIN US.

  • シェア
  • このエントリーをはてなブックマークに追加


CIEE JAPAN 50周年記念スカラーシップ

受賞者報告書

 

1.参加の動機

7/17から8/13の4週間、コスタリカはモンテベルデを訪れ、アメリカの大学生とともに環境工学を学びました。私がこのプログラムに参加しようと思った理由は、持続可能な社会作りに興味があったからです。コスタリカはほぼ100%の電力が再生可能エネルギーで賄われており、軍事力を保持していない国として知られています。原発や安保理問題を抱える日本人として学ぶべきことが多くあるのではないかと思い、また高校時代にスペイン語を三年間履修していたことがあったのでスペイン語も学べる良い機会だと感じ、留学を決意しました。

2.履修コースはEnvironmental Engineering for the Tropics

私は環境研究を準専攻として考えていますが、今まで勉強したことがない工学の授業を英語で受けることはチャレンジでした。プログラムに参加する以前はコスタリカ、そして環境工学についても詳しい知識がほとんどなかったため、図書館で本を借りて事前リサーチをしました。コスタリカについて紹介されている本「エリアスタディーズ:コスタリカを知るための60章」(このシリーズは一つの国をピックアップして文化や環境など詳しく小節ごとに書かれている)や、授業のシラバスを読んで関係のありそうな再生可能エネルギーの本を借りたことで、現地でのステイや授業に自然と馴染むことができたように思います。プログラムに参加している学生は全員理系だったため、授業についていくことにとにかく必死でしたが、先生もとても丁寧に教えてくれ、クラスメイトからのサポートもあり、一つ一つの課題も乗り越えることができました。私が参加したコースの正式名称は「Environmental Engineering for the Tropics」といい、主に三つのユニットにそって授業が進められました。

 

-都市化に伴うごみ問題

最初の数日間は首都のサンホセにステイし、都市化に伴うゴミ問題について扱いしました。フィールドトリップではコスタリカで初めて建設された下水処理場や、埋め立て地の近くに位置する「La Carpio」と呼ばれるニカラグアからの不法移民が住む場所を訪れました。La Carpioはコスタリカ人の間では貧困や犯罪が多い「スラム街」として認識されています。政府は不法移民に対する滞在を認めるかわりとして近くにゴミの埋め立て地を作ったのですが、住民の暮らしや健康に様々な被害があり、立場上の力関係の構図が見て取れます。訪問中もゴミ処理トラックが砂埃を立てながら頻繁に街中を通り抜けていきました。川側に住む人が最貧困層の人々と呼ばれているのですが、川は汚染され、服が土手側に積み重なり、木にはプラスチックが絡まっています。ここに住む子供たちは幼い頃から埋立地近くで暮らしているため、ゴミを捨てるという概念がないせいか、実際に子供が、バケツいっぱいになったゴミを川側に捨てていました。ゴミの埋め立て地の環境への影響に加え、都市部で排出されたゴミが国民からは見えないところで処理されている社会問題としても考えられ、環境教育の重要さを痛感しました。

 

-環境に負荷を与えない「Climate-Smart Agriculture」

2つ目のユニットでは農業について取り扱い、実際にモンテベルデニアに住むエルミダおばさんの小規模コーヒー農家を訪れながら、環境に負荷を与えない「Climate-Smart Agriculture」について学びました。実際に畑の周りに木々を植えるアグロフォレストリーに加え、コーヒーの苗の間にトウモロコシやバナナなどを植える間作をするなど、自然災害による対策が行われていました。このユニットでは二つのグループに分かれ、農業廃棄物を堆肥にする「コンポスト」と家畜の糞から排出されるメタンガスを料理用ガスに変換し有効活用する「バイオダイジェスター」をデザインしました。無駄からプラスを生むことで、環境への影響を緩和するだけでなく、農業をする上での重要な財産として活用するという発想は他の問題に対しても欠かせないポイントだと学びました。特に社会の中でも低い立場にいる人は、環境問題による影響が大きいため、声が届きにくい現状がある中で負担をせずに問題を解決に導くアイディアは貴重であると思います。彼女の農園ではほぼ自給自足をしているため、訪問中は農園で採れた新鮮な野菜や果物を使って美味しい現地料理を振る舞ってもらい、食の循環、そして食べる喜びを実感しました。

-再生可能エネルギー

最後のユニットは、再生可能エネルギーについてでした。最初にも書きましたが、コスタリカは約70%が水力、約20%が地熱、その他風力・太陽光の再生可能エネルギーによって発電されています。それぞれの発電方法についてレクチャーを受けた後モンテベルデを離れ、二泊三日のフィールドトリップとして実際に各発電所を巡り、それぞれの現場で働く現地職員の方々からお話を伺いました。多くの場所が日本からの援助や技術が導入されていることを知り、意外なところで自国とのつながりを感じました。私の最終課題は、電気自動車の導入を考えた際の発電方法の組み合わせ方を二酸化炭素の排出量とコスト削減にも考慮をして提案するというものでした。水力発電はコスパがいい上、発電力への貢献度は高く、引き続きコスタリカ政府は開発を進めようとしていますが、実際には堆積物の問題による発電所のライフスパンの減少、ダム開発による移住などの諸問題を抱えていることを知りました。しかし、二酸化炭素の排出量を考えて計算をした場合、風力や太陽光発電の割合が増加したことが興味深い点でした。再生可能エネルギーと言っても、すべてが環境に優しいというわけではないということを理解し、経済力を重視しがちなエネルギーの発電方法・使用方法ともに真剣に考えていかなければならないと感じました。

3. グローバル・シティズンとして大切なこと-自然環境と人間生活のかかわり方を見つめ直す

環境先進国と呼ばれているコスタリカが、環境問題に対して実際にどのような取り組みをしているのか直接自分の目で見て、現地の関係者と交流する機会もあり、また授業だけではなく自然保護地へのトレッキングなどのアクティビティも通して、自然環境と人間生活の関わり方を見つめ直すこときっかけになりました。環境問題を工学という実践的な分野から見つめ直し、解決策を見出していくプロセスはとても興味深かったです。私が今回印象に残った授業はコスタリカの再生可能エネルギー、特に水力発電についてでした。日本でもエネルギーに対する意見の相違があり、例えば長崎県の石木ダム建設開発反対のムーブメントが草の根レベルで行われています。開発をするとエネルギーやそこから雇用が生まれるなどメリットもありますが、その裏には失われる地域コミュニティや自然環境・生態系への影響など負荷を考えなくてはなりません。情報を鵜呑みにするのではなく、まずは日々の暮らしの中でのエネルギーとの関わり方を見直し、現地の声に耳を傾ける必要があると思いました。また、授業が行われたCIEEのスタディセンターではリサイクルや堆肥作り、小さい農園などを設けており、地元の自然を大切にしていました。先生もプラスチック製品をなるべく使わないよう努力をしているなど、環境を守るために普段の生活の中でアクションを起こすことが沢山あるのだと実感しました。


グローバル・シティズンとして大切なことは、様々な問題を自分の問題と捉え、日常の中で少しずつ自分でも取り組みやすいことを率先して取り入れていくことだと思います。私もこの夏の学びを、まずは地元で行っている無農薬農園や日々の暮らしに生かし、周りの友達や近所の方々へインフルエンサーとなっていけるよう努めていきたいです。

 

4. 交換留学制度を利用して、スウェーデンで社会の持続可能なあり方を学びたい

ホームステイでは異なる環境の中に身を置くことで新たな気づきを与えてくれました。ホストマザーのお姉さんに毎日往復四時間、電車に乗って大学に通っていることを伝えると信じられないと言われ、そうか自分は1日の1/6を通学に使っているのだなと改めて実感しました。コスタリカと日本の時間の流れを通して、満員電車に乗り、せわしなく過ぎていく毎日を淡々とこなすのではなく、大学に通う意義をしっかりと見出していきたいです。CIEEの留学で環境工学を学び、コスタリカに存在する問題の解決方法を探し出していくプロセスに興味を持ちました。留学に行く前はメジャーを何にしようか迷っていましたが、新学期からは社会にある問題をより深く掘り下げてみていく「公共政策」と今回の留学でさらに興味を持った「環境研究」の授業を通して学んでいきたいです。次の目標は、学内の交換留学制度を利用して、高福祉社会でありながら環境に対する取り組みが進んでいるスウェーデンにて、社会の持続可能なあり方を学びに行くことです。