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CIEE JAPAN 50周年記念スカラーシップ

受賞者報告書

 

1.参加の動機

将来の就活につなげたいため、自分の英語力を高めるため、など応募動機は挙げればいろいろ出てきますが、純粋に世界を見てみたいというのが最初のきっかけでした。仕事をすれば自由な時間が限られるから今のうちにできる経験はやっておこう、という単純な論理でもあります。私は2017年の2月から9月まで語学留学を中心とした長旅を計画していたのですが、今回のCIEEプログラムはその一部として考えました。短期間で現地の文化を学びながらアメリカの学生と交流できる、そんな一度で二度おいしい話も滅多にないので、すぐに応募を決意しました。ロシアは普段気軽に行ける場所でもありませんし、私の専攻とも関わりがあったので渡航先はここに決めました。

2.教授から「発言しないと単位はないぞ」とメッセージが入り・・・

私が留学先として選んだのはロシア第二の都市サンクトペテルブルクです。そこで私は”Russian Civilization”と”Communicative Russian Language”の二つの科目を取りました。ロシア語の方は日本でロシア語を学ぶのと基本的に変わりがなかったので、今回は”Russian Civilization”について話します。


この授業は3時間の授業が週に3回あり、講義スタイルと学外活動の二種類があります。講義ではロシアの政治や文化、ジェンダーなどの特徴についてグループワークをしながら教授の話を追います。実際には、「ロシアの中産階級は全体の何%を占めるのか」という問いから、「プーチンは必要以上に上半身を露出して狩りや乗馬などを楽しむ傾向があるがそれにはどういう政治的な意図があるのか」、といった話題までが取り上げられました。学外授業では教授と共に街を歩き回り、ロシアの文化について理解を深めます。このマーケットで働いている人の国籍は何か、この施設は市民にとってどういう意味を持った空間なのか、などを考えながらペテルブルクの街を歩きました。

 

どちらの授業にしても積極的な発言が求められます。私の場合授業の一週目に発言をしなかったので、教授から発言しないと単位はないぞとメッセージが来ました(笑)。アメリカ人の彼らは発言することに慣れていて、授業中には何度も手が上がります。最初はこの文化の違いに戸惑いましたが、慣れると意外と発言しやすいことに気づきました。日本では少人数のゼミでも周りが発言しないため、ここで発言して目立つのもな….という思考にいきがちな気がします。しかしアメリカ式授業ではみんながみんな手を挙げたがるので空気を読む必要もありませんでした。

 

 

3. スケジュールを埋め尽くした課外活動

基本的に授業のない日は課外活動で埋め尽くされます。私の場合、1か月のプログラムの中で自由な休みが取れたのは2日だけでした。課外活動は原則として出席が求められますが、欠席可能なものもあります。しかし貴重な体験ができるチャンスなので機会があればとびつくことをお勧めします。
私が体験した課外活動をずらずら挙げていくと、
・パブのクイズ大会
・ペテルブルク市内回遊ツアー
・現地のLGBTとの意見交換会
・第二次世界大戦レニングラード包囲戦跡ツアー
・ロシアバレエ「白鳥の湖」鑑賞
・ロシア国土ミニチュア博物館見学
・帝政ロシアの宮殿見学
・在露アメリカ領事館訪問
・ジョージアン料理教室
・二泊三日モスクワ旅行
・船上パーティー
というように多種多様です。これが一か月の中に詰まっていたのです(笑)。
なかでも個人的に印象に残ったのはジョージア料理教室でした。ジョージア、旧国名グルジアは旧ソ連を構成した国の一つです。私は今回の渡航で初めてジョージア料理を口にしたのですが、そのバラエティの豊かさに驚きました。「ハチャプリ」は中央に大量のチーズが溜まった焼きたてパンで、外側のカリカリとしたパン生地をちぎり内側のとろとろチーズと生卵に絡めて食べます。「ヒンカリ」というメニューは巨大な小籠包という形容をしていて、ひとかじりすると中の肉汁があふれ出て止まりません。これ以上書くとただの食レポになってしまうので控えますが、ジョージアはその地政学的な背景から、東アジア・南アジア・ヨーロッパの料理が融合した世界の食の交差点とも言える独特な食文化を持っています。料理教室ではそんなジョージア料理をシェフの指導の下でクラスメートと作りました。お味の方は….もうおいしいに決まってます(笑)。

4. アメリカ独特の文化にも触れた

プログラム名が「Russian Area Studies」ということもあり、今回の渡航ではロシアの社会や文化について目で見て肌で感じ学習することができました。しかしそれよりさらに理解を深めることができたのはアメリカの文化だったようにも思います。アメリカの文化というと自由・多様という言葉が真っ先に浮かんできますが、振り返るとそのイメージもあながち間違いではありません。集合はルーズで一人は遅刻者が出ます。その一人がやってきて人数確認すると別の一人がいなくなっていることもしばしば。クラスメートの女の子は授業の休憩中にストレッチをしていたのですが、ノビからどんどんエスカレートして最終的にブリッジを始めました。クラスにソ連軍グッズを収集する軍事オタクの友達がいました。軍隊バッジ、従軍バッグ、軍服を少しずつ買いためて装備していた彼は、最終日に軍用ヘルメットを購入して本物の軍人になりました。彼らの行動には笑わされたり驚かされてしまうことがたくさんありました。これは一側面にすぎませんが、普段日本人なら自制心を働かせるところでもノーブレーキでやってしまう傾向がアメリカ人にはたしかにあります。だから失敗を恐れずに革新的なことをできるし、反対に過激な衝突も増えてしまう。このアメリカ独特の文化を実際に目で見て感じることができたのは今回の大きな収穫でした。

5.グローバル・シティズンとは-他文化の長所を吸収しながら自文化のいい所融合させていく姿勢が求められる-

今回の経験を踏まえたうえで「日本」を見るとどうでしょうか。たしかに日本人は巷で叫ばれているように空気を読んで意見を言うのをためらったり、挑戦に対して否定的な姿勢があります。しかし反面日本人の相手に対するおもいやりや譲り合いの意識は素晴らしく、アメリカやロシアに比べても高いことをやはり実感します。言い換えれば過激な衝突を避ける能力を日本の文化は持っていると言えます。中にはアメリカがこうだから日本もこうすべきだ、日本人もより積極的にアグレッシブになるべきだという言論も聞きますが、結局はバランスが重要で、他文化の長所を吸収しながら自文化のいい所と融合させていく、そういう姿勢がこれからのグローバル化の時代に求められるものではないでしょうか。当たり前ですが、非常に重要で意外と難しいもののような気がします。

 

6. 外国人との間の壁が一つ崩れた

私の将来に今回のプログラムがどう活きるかですが、まず第一に本場の英語に触れることができたことが大きいです。私は中学から数えて9年間以上英語を勉強したことになりますが、海外留学、特にアメリカ人と何かを学ぶのは今回が初めてでした。実際に彼らと話をしてみると、これまで学んできた英語と本場の英語にギャップがあることを痛感します。授業では先生が早口で専門用語を繰り出しますし、日常ではさらに聞き覚えのない単語やスラングが飛び出ます。TOEICやTOEFLではスピーカーのクセや雑音は抑えられていますし、CDの中の彼らは決してfu*kin’などは言いません。学習用英語と実用英語に違いがあるのは確かです。しかし今回の経験で私が目指すべき英語がどういうものなのか確認できましたし、これからの勉強方法の手掛かりにもなりました。学習を続けていけば彼らの英語にたどり着くのも不可能ではないと今では思います。


もう一つ挙げるとすれば、外国人に対する認識の変化は私の将来に役立つのではないかと思います。海外へ行く前は他の日本人同様、外国人というものに対して少なからず恐れや不安を感じていました。同じ人間だとは頭で思いながらも、それを裏付ける経験が足りなかったことがその不安の根底にあったのでしょう。しかし今回のプログラムでは期間中毎日ロシア人やアメリカ人と関わることになり、彼らがどういう考えを持っているのか、日本人とはどれくらいの距離があるのかを体で感じることができました。今となっては彼らがより身近に思えますし、この壁が一つ崩れた感覚は、将来いつの日か(わりと近い日かもしれませんが)外国人と付き合う上でプラスに働いてくるはずだと思います。