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CIEE JAPAN 50周年記念スカラーシップ

受賞者報告書

 

1.参加の動機

高校でフランス語を学び始め、フランス語で話せることが多くなるにつれてフランス語圏に留学したいという思いが強くなり、機会があればフランスへ留学したいと思っていたところこちらのプログラムについて知り応募させていただきました。自分で語学学校を探すことも考えましたが、なんといっても奨学金をいただけるということと私の大学ではCIEEプログラムが単位に編入されることが大きな決め手となりました。

2.異国において一人でいろいろなことができた

週によってフィールドトリップがあるため授業が週に何回行われるかは異なりますが、基本は9:30-12:30の3時間の授業です。私が受講したコースはAdvanced French(français avancé)で先生はB2-C1のレベルを目指している人向けと言っていました。私は参加当時B1くらいのフランス語力でしたが、ついていけないこともないけれどめちゃくちゃ余裕があるわけでもなく結果的にちょうどよかったと思いました。比較的文法に重きが置かれており、そちらは私にとっては比較的易しめだった一方、3ページのエッセイにはかなり苦労しました。また、母語はフランス語だけれども文法ができない人と、私みたいに文法はそれなりにできるけどもっと話せるようになりたかったり、リスニングを伸ばしたかったりする人がいたりしてなかなか先生も目標を絞るのが大変そうに見えました。クラスメイトは4人(英語が母語3人、フランス語が母語1人)で、正直にいうと、ちょっと少なくて寂しいなあと思うこともありましたがその代わり、交代で読んだり、答え合わせを何周もしたりするので、程よい緊張感があってよかったかなとも思います。基本的にSession3は生徒数が少なく、英語のnon-nativeということで友達作りに苦戦することもあるかと思いますが、開き直れば一人で自由に行動することができるということでもあります。Parisはどこを歩いても綺麗で飽きないし、美術館に行ったりショッピングしたりなどはいくらでもできます。Parisian(ne)のように素敵な公園で日差しを浴びながらベンチに腰掛けサンドイッチを食べながら一人ゆっくりと過ごすという楽しみも見つけました。一人の時間を持つことの価値は当たり前だけれど持ってみないとわからない。私にとってのそれは、異国において一人でいろいろなことができたという経験の希少性でした。実際に経験している最中には見えていませんでしたが帰国して時間が経ってみて人に自分の経験を話すうちに、人がしていない経験をしているのは自分をユニークなものにするための材料であるのだと実感しました。

3.印象的だった地域 MarseilleとBelleville

study tripとして2日間Marseilleに行きました。Studyという名を冠しながら、実際はほぼバカンスで、1日目はついて即ビーチに向かい、海を満喫したあと、クスクス(南仏の名物。マルセイユは移民が多く、アフリカ由来の食べ物が多くあって特徴的でした。)を食しました。夜のdigestive walkのあとローカルなバーでアメリカ人の学生たちとモヒートを飲み交わしながらお互いの夢について語り合ったりもしました。私はパリの人よりゆっくりと喋ってくれる人が多くて好印象で、加えて綺麗な海やビーチにもすっかりと魅了されてしまったのですが、知り合いのパリ出身のフランス人からしてみると移民が多いが故に危ないイメージで、あまり好きではない人が多いそうで驚きました。自由、平等、博愛がスローガンの のフランスでもxenophobiaはあるのですね。肌の色など身体的な違いが目に見えやすいぶん、その違いが際立つのでフランスで移民として暮らすのは相当肩身の狭い思いをするのではないかなあと率直に感じてしまいました。また、移民についてもう一つ印象的だった地域があります。それは、授業後にプログラムのコーディネーターが案内してくれた場所のうちの一つで、Bellevilleという19,20区にあたる場所です。この地区は日本のガイドブックには一般に“治安が悪い”とのお墨付きをもらっている地域で観光客は少なく、いわゆる白人といった人もあまり多くはありません。多くのアジアからとアフリカからの移民が彼ら独自のコミュニティをつくってくらす地域であり、諸方面のアーティストのような一風変わった人々の暮らす土地でもあるのでした。たくさんのこぢんまりとしたお洒落なアトリエがあり、ラップのような音楽に乗せて社会を 批判する スラムと呼ばれる音楽が演奏される 。そんな雑多とも言える多様さと、パワーを感じるこの地区はいわゆるパリのイメージとはほど遠いぶん私に強い印象を与えました。

4. 私にとってオリジナルなパリ滞在体験

勉学や観光の部分については上でも述べましたので、ここでは他に学んだことについて書きたいと思います。今回の滞在では、一人でいることについて考えた日々でもありました。というのも日本にいる時に比べて圧倒的にひとりでいる時間が多い上に、パリのカフェにいるのはカップルや友達同士でで、あまりお一人様はおらず、なかなかにひとりでは入りづらいし、その他観光名所もまた家族や友人と連れ立って歩いている人ばかりでお一人様にはあまり優しくない街だからです。お洒落なお店やお菓子屋さんがあるにもかかわらず勇気がなく入っていけずに何度も後悔したり、寂しい思いをしたけれど、その代わり、英語に切り替えられずに初めてひとりでサンドイッチを頼めたときはとても誇らしい気持ちになれました。というのもそれまで私はフランス語で話しかけても英語で返されるという、フランス語学習者にとってはすごくショッキングな状況に何度も陥っていたからです。また、カフェの店員さんに皮肉を込めて「君、フランス語わかってるんだね」と言われたときのあの店員さんのおもしろいものを見たような顔や、ホテルのフロント係にナンパされて不覚にもいい気分になってしまったこと(フランス語ができなければそんなことにはならなかっただろう!)。そのような、観光客がするパリの滞在体験ではない、私の、私にとってオリジナルなパリ滞在経験ができたことが今回の大きな学びであったと思います。

5.「グローバル・シティズン」としての姿勢 -自分がその人をどう思うかを大切にすること-

物事の価値を、自分自身で判断することだと思います。 世の中の価値観や偏見、例えば黒人の人は体が大きくて恐ろしいとか、フランス人は冷たいとか、アメリカ人は個人主義的であるだとか、そのようなナショナル・アイデンティティ、エスニック・アイデンティティをそのまま鵜呑みにしないということです。もちろん、そのような分析はある程度世界の人々をよく知るための入り口や世界の人々とうまくやる第一歩にはなるでしょう、しかしながら、それらはその人の個性のほんの一部であることも同様に知っておくべきだと思います。グローバル・シティズンであるならば、きっとグローバルに活躍することが念頭に置かれるのでしょう。だとすれば、多種多様なバックグラウンドを持つ人々とともに行動することになるはずです。実際、今回パリに行った私はもはやフランス語を使うというその点でいわゆる日本人ではなかっただろうけれど、ホストファミリーにうまく主張できずにおとなしくホストマザーのペースに合わせるばかりだった部分は、自分は日本人だなあと感じた部分でもありました。世界にはそのようにたくさんの国で暮らしていて、たくさんのアイデンティティを持って生きている人たちばかりなのです。だから、そのような人々をその見た目やその人のまとうナショナル・アイデンティティなどといったいわゆる一般的な評価で判断せず、自分がその人についてどう思うかを大切にすべきであると思うのです。このことが今回、フランスで色々な人びとの様々な生き方を見て強く感じたことです。

6.フランス語を通して物事を学ぶ過程は人生における重要な要素

今回のフランス滞在を通して、私はやはりフランス語が好きだし、フランス語をしゃべる人びとやそのメンタリティも好きなのだと改めて感じました。また、自分はフランスについてフランス語以外のことはほとんど知らないのだと感じたので、もっとフランスの色々なことについて学びを深めたいと思っています。そのためにも、もう一度フランスの大学で勉強をしたいなあと考えていて、大学の交換留学に申し込もうと思っています。2年の夏という時期に留学できたことによってフランスで暮らせそうだという自信がつき長期留学に対してより前向きになることができました。また、まず英語ができるようにならねばいけない、と言われているこの世の中において、あえてフランス語を学ぶ意義について自分の経験を通して考え発信していきたいと思っています。なんといっても、フランス語を通して物事を学ぶ過程は英語を学ぶ過程と同じかそれ以上に私の人生における重要な要素であるし、フランス語の勉強なしには今の自分はいないのですから。