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  • 鈴木佑治先生
  • 立命館大学生命科学部教授
    慶應義塾大学名誉教授

第60回 米国留学-目的に合う大学選びとトランスファー制度の活用-

7月末になると米国の大学は、サマー・スクールやサマー・セッションを終了し、閑散とします。在校生は各地に散り、新入生は期待と不安を交えて秋の入学式を待っていることでしょう。2014年に米国留学をすることを考えている読者は準備を兼ねて情報収集に着手しましょう。この秋には、まず、目指す大学や大学院のAdmissions Officeから募集要項や入学願書(application forms)を入手し、必要書類を備えて提出しなければなりません。同時に、TOEFL®テスト、SAT (Scholastic Aptitude Test、学部のみ)、 GRE (Graduate Record Examination)、GMAT (Graduate Management Admission Test)、LSAT (Law School Admission Test)などのテストを必要に応じて受験し、そのスコアを提出しなければなりません。これらに関連する情報、書類、手続きなどは、オンラインで行われているのでチェックしてみましょう。

米国には4年制大学が約2,400校と2年制大学が約1,600校 、総計約4,000校の大学があります。その中から自分に合う大学を選ぶことは一苦労ですが、ランキング付きの大学案内があるので読んでみましょう。インターネットでUSA、 college、 university、 rankingsと入力すると多数の大学ランキング・サイトがでてきます。中でもUS News & World Report Best Colleges Ranking (http://www.usnews.com/education)が有名ですが、どのランキングでも目安は、上位50校が難関校 (most competitive)、51位~100位までが準難関校 (highly competitive)です。SAT、授業料、奨学金、教授陣(博士号保有率など)、プログラム、寮、周辺コミュニティー、セキュリティー、カレッジライフなどを総合してランク付けされており、大学受験予備校の模擬試験の偏差値による日本のランキングとは一味違います。大学院ランキングは専攻別で、テーマによっては日本では馴染みが薄い大学の大学院でしか研究できないことが多々あります。

米国のシステムのよいところは、他の大学や大学院にトランスファー(transfer)できることです。トランスファーということばは、飛行機、電車、バスなどの「乗り換え」の意味で使われますが、気軽な感覚で大学を変えることを表現するにはぴったりのメタファーです。日本にも編入制度がありますが若干名に限られているので、もう一度入学試験を受け直して1年生からやり直すのが慣例です。他方、米国のトランスファー制度は量・質ともに充実しており、前の大学で取得した単位の多くが認められるので、1年生からやり直す事はなく2年生や3年生として編入できます。また、2年制の短大から4年制の大学への編入もごく普通に行われています。「大学中退」という概念が希薄で、大学をやめても、その大学に戻ることも、他の大学に移ることも簡単にできます。日本の大学はこの点でも遅れをとっており、トランスファー制度の導入は急務です。

米国社会の特徴の一つは移動です。米国人は場所から場所へよく動きます。その意味でも他大学へトランスファーすることが抵抗なく受け入れられてきたのでしょう。これが、また、勉強したい大学や大学院を自分で選ぶという独立自尊の精神を育てます。その精神なくして米国の大学や大学院では成功できません。いわゆる「“有名大学”であるから」という理由で選ぶと失敗します。目標に照らして自分が勉強したいプログラムを持つ大学を選ばないと後悔するでしょう。分野によっては日本では全く聞いた事がない大学が研究拠点であることがよくあります。留学後に気づいたらそこにトランスファーすればよいだけのことです。野口英世はTulane大学で黄熱病の研究をしました。博士が身を捧げたアフリカと似た気候をもつニューオーリンズの大学でしかできない研究があったに違いありません。余談ですが、博士も当時のアフリカ系アメリカ人のニューオーリンズ・ジャズに耳を傾けたのでしょうか?フレンチ・クオーターからジャズが流れてきそうな場所にある大学です。ジャズに託された彼らの苦しみに共感したかもしれません。

上記は掲載時の情報です。予めご了承ください。最新情報は関連のWebページよりご確認ください。