For Lifelong English

  • print
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 鈴木佑治先生
  • 立命館大学生命科学部教授
    慶應義塾大学名誉教授

TOEFLテスト導入について

世界競争を意識してか、TOEFL®テストの一定点数を大学入学の条件に課すという教育再生会議案(*1)が浮上しています。アジアのトップ大学は世界ランキングでの20位程度ですが、世界、1位、2位の大学に追いつくことができるのでしょうか。1つの指標としてトップ校の発信力を調べてみたところ、1位、2位の常連校MIT(*2)は、約90,000件のプロジェクトをYouTubeで発信しており、競争相手Harvard(*3)の約3,700件を大きく引き離しています。直接関連しないものも含まれているかもしれませんが、量的に他を圧倒していることは確かです。また、質的にもMIT Media Lab(*4)などのプロジェクトは先端的かつ独創的なものばかりです。勿論、こうしたプログラムの陰に旧態依然のプログラムもありますが、どうやらほんの一部のようです。日本もいよいよTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に参加しますが、そのうち大学教育も交渉の対象になるかも知れません。TPP参加国のこうしたトップ大学は、生き残りを掛けて海外進出を仕掛けてくるでしょう。TOEFLテスト導入の動きに何か差し迫った背景を感じざるを得ません。

TOEFLテストは入学試験ではありません。英語を母語としない大学や大学院の志願者が、英語で行われる授業を受ける能力があるかないかを診断するテストです。個々の大学や大学院が基準を決め、それをクリアすれば合格ですが、クリアできなくても、英語能力を訓練するプログラムを受けることを条件に許可されることがあります。米国の各大学は、正規の授業以外に英語で授業についていけない留学生のために英語プログラムを用意しています。日本ではこうした英語フォロー・アップ・プログラムを設置している大学は稀です。それどころか、英語で行う授業の数さえ不足しているのが現状です。このままでは留学生は米国の大学に流れ続けるでしょう。まず、英語で受けられる授業の数を増やすことが先決です。同時に、英語力が不足している学生のためにフォロー・アップ・コースを設置する必要があります。こうしてはじめて英語力診断テストとしてのTOEFLテストが大学教育にその機能を発揮するでしょう。

立命館大学の生命科学部と薬学部は、グローバル・プロジェクトに参加する人材を送ることを教育目標に、「プロジェクト発信型英語プログラム」を導入して必要な英語力を養成します。全履修者が各自専門分野のテーマを立てて、英語でターム・ペーパーを書き、英語でプレゼンテーションできます。

http://www.pep.sk.ritsumei.ac.jp/
https://ja-jp.facebook.com/ProjectBasedEnglishProgram

をご覧ください。

【注釈】
  • 教育再生会議案(*1)・・・
    安倍内閣が教育改革(再生)への取組みを強化するため、2006年10月10日の閣議決定により設置した機関
  • MIT(*2)・・・
    マサチューセッツ工科大学(英語: Massachusetts Institute of Technology)のこと
  • Harvard(*3)・・・
    ハーバード大学(英語: Harvard University)のこと
  • MIT Media Lab(*4)・・・
    MITメディアラボ(MIT Media Lab)は、米国マサチューセッツ工科大学建築・計画スクール内に設置された研究所
上記は掲載時の情報です。予めご了承ください。最新情報は関連のWebページよりご確認ください。