国・自治体での取り組み

それぞれの地域における英語教育への取り組み

  • print
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 右から
    海陽中等教育学校 小野正樹先生
    海陽中等教育学校 5年生 神田秀峰さん
    海陽中等教育学校 5年生 久保田禮さん
    慶應義塾大学名誉教授 鈴木佑治先生

今回は「第5回科学の甲子園全国大会」優勝校スペシャル対談の後編になります。前編の内容はこちら

“英語で資料を読むことで実力も付き、同時にサイエンス系の知識も取り入れることができる”

「SCIENCE OLYMPIAD」の感想 ―後編―

鈴木先生:
WRITE IT/DO IT(*1)はどんな雰囲気でしたか。
久保田さん:
WRITE IT/DO ITは2人1組で行う競技で、僕は作る側だったので書き終わるまで時間がありました。その待ち時間では生徒同士で話す機会があり、「なぜこの競技にでるの?」と質問をしたら「好きだから」と答えが返ってきて印象に残りました。その他にも進学についての話をしました。
鈴木先生:
アメリカの生徒は進学についても関心が高いのではないですか。
久保田さん:
そうですね。もう行く大学が決まっていることに驚きました。
鈴木先生:
その生徒は何年生ですか。
久保田さん:
多分同じ年だと思います。「やりたいことがあるので、あの大学のあの学部に入りたい」など具体的な理由を話していました。あまり日本の高校2年生だとそこまで具体的なことを決めている生徒は少ないと思います。
鈴木先生:
お二人はどこの大学に入るか決めていますか。
神田さん:
だいたい学部は決めているのですが、どんな研究をしたいとかそういうことまでは、まだ細かくは考えていません。

「科学の甲子園」優勝校海陽中等教育学校インタビュー

鈴木先生:
WRITE IT/DO ITでは、日本語は使用できましたか。
久保田さん:
日本語も使うことができました。でも出題されたものが想像以上によくわからない複雑な物体だったこともあり、練習では時間に余裕を持ってできていたのに、本番の問題はとても複雑で時間も足らず良い成績を取れませんでした。
神田さん:
画鋲、ストロー、ピン、紙コップ、紙皿、スポンジなど、色々とあってわかりませんでした。
久保田さん:
上手く説明ができないのですが、紐が変な感じで通してあり、うねうねしたものや接着剤がないものなどありました。
鈴木先生:
そのようなわけがわからない問題が、どうして出題されたのでしょうか。
久保田さん:
正直わかりません。楽しそうだからでしょうか。
鈴木先生:
私が思うに人は物事をどのように認識するか、人の認識の仕方がいかに曖昧で危ういものであるかを突いた問題だと思います。これからの世界は予想がつかない問題に直面します。認識力が当然試されます。諸問題の背景に潜む物事をより正確に認識しなければ解決できません。予想がつく物事には容易に対応できても、予想がつかない物事には手を焼きます。物事に対する認識力の甘さを抱えつつも創造力と想像力を活かしてどのように解決するか、その辺りを試す問題ではないかとの印象を受けました。

鈴木佑治先生

英語力について

鈴木先生:
英語はどうでしたか。問題ありませんでしたか。
久保田さん:
開会式や閉会式で話しているナチュラルな英語は2割ぐらいしか理解できませんでした。普段ナチュラルなスピードを聞く機会がそんなにはないですし、リスニングのテストでもアメリカの現地と比べるとゆっくり話しているので、トレーニングしないと聞き取れるようにはならないと思いました。解決するための一番いい手段はおそらく留学だと思います。
鈴木先生:
そうですね。留学は考えていますか。
神田さん:
留学しなくても頑張れば英語ができるということは知っていても、英語以外にもやることはたくさんあるし、学校で学ぶ英語は大学受験のための英語で話すための英語とは結構ちがうところがあるから難しい状況ではあると思います。

英語研修について

神田さん:
研修では配布された資料を説明するという形式で行いましたが、役に立ちました。発表形式で行ったことで、自分が読めていなかったところがわかりました。あえて発表して確認することで完全に理解できたのでそれは良かったです。

「科学の甲子園」優勝校海陽中等教育学校インタビュー

鈴木先生:
他の人からのコメントにも対応しなければなりませんしね。
神田さん:
わからないところを質問されても答えられるようにしなければいけないから、調べなければいけないし、それは本当に良かったと思います。
久保田さん:
僕も同じく発表形式でやったことで細かいところまで調べ読み込むことができました。また講義の中で鈴木先生がおっしゃっていたように、インターネットなどを利用して英語で資料を読むことで、実力も付き同時にサイエンス系の知識も取り入れることができると実感したので、続けて行こうと思います。
鈴木先生:
そうですね。良いものはどんどん使ってください。特にサイエンスの分野は一番良心的かつ無料で多くの記事が掲載されているので役立つと思います。
小野先生:
正直な感想ですが、初回は自己紹介という基本的なコミュニケーションの取り方でしたが、2回目はほとんど「SCIENCE OLYMPIAD」の準備に費やしていただいたので、こちらからすると余計なご負担をかけてしまったのではないかと心配していました。もともとは英語の研修のためにお越しいただいたのに、英語の研修じゃないところに皆様のお力を使ってしまったのかと思うと心苦しい部分がありました。

「科学の甲子園」優勝校海陽中等教育学校インタビュー

鈴木先生:
私自身もある意味、非常に楽しませてもらいましたので負担だと思っていません。今回は日本語で行いましたが、普段は英語で授業を行っています。実は英語と日本語をあまり区別していません。なぜならばコミュニケーションっていうのはその時一番あった言葉を使えばいいわけで、場合によっては英語を使う必要はないと思います。私の行ったプロジェクト英語の授業では、そう意味では何語でプロジェクトを行ってもかまいません。但し、授業の最後に英語でプロジェクトの成果を発表しディスカッションしてもらいます。今回も研修2日目の最後に成果発表の時間を取りたかったのですが、残念ながら時間切れでできませんでした。1日目はできましたが。ところでSAT(*2)という試験はご存知ですか。
神田さん:
日本でいうセンター試験のことですよね。数学はとても簡単だという話を聞いたことがあります。
鈴木先生:
優秀な皆さんならば、英語がもう少しできるだけで問題は簡単に解けると思いますので挑戦してみてください。英語力を付けるということで、世界中で行われているスタンダードな英語試験である、TOEFL iBT® テストをぜひ受けていただくといいと思います。研修を通じて皆さんの英語のポテンシャルが高いことはわかりましたので挑戦できると思います。仮に海外の大学に行かなくても、日本の大学に入ってからでも交換留学などでTOEFL iBTテストのスコアが必要になるので、今のうちから4技能をバランスよく勉強されると良いと思います。

 


出典:科学技術振興機構(JST)

 

(*1)WRITE IT/DO IT・・・2人1組で行う競技で1人はどのように組み立てるのか説明を書き、それに基づいてもう1人の生徒がそのオブジェクトを構築する競技。
(*2)SAT・・・アメリカの大学に出願する高校生のための学力テスト。詳細はFor Lifelong English(第91回 アメリカの大学へ入学する為に必要な一斉試験SATについて(1)SATとはどんなテスト?無料SATオンライン・コースは?)を参照。

 

鈴木佑治先生
  • 聞き手:鈴木佑治先生
  • 慶應義塾大学名誉教授
  • 学校法人海陽学園 海陽中等教育学校(愛知県蒲郡市)
  • 海陽中等教育学校は、2006年4月に、トヨタ自動車、JR東海、中部電力を中心とした、経済界約80社からの支援により創設された、全寮制・中高一貫の男子校。
    この独自性を生かし、建学の精神である「将来の日本を牽引する、明るく希望に満ちた人材の育成」に則った教育を行っている。
  • 国立研究開発法人 科学技術振興機構
  • 科学技術振興機構(JST)は、日本の科学技術の発展を牽引する組織として、科学技術を支える人材の育成にも注力している。『科学の甲子園全国大会』はその一環として、2011年度よりJSTが開催している高校生の科学コンテストである。
    科学の甲子園 Webサイト:http://koushien.jst.go.jp/koushien/
上記は掲載時の情報です。予めご了承ください。最新情報は関連のWebページよりご確認ください。