社会人インタビュー

グローバルな企業や社会人にインタビュー

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国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)インタビュー
  • 国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)
  • 右:第一宇宙技術部門 地球観測研究センター
      研究開発員 濱本昂さん
    左:第一宇宙技術部門 衛星利用運用センター
      主任研究開発員 矢部志津さん

衛星からの情報を活かして地球環境の改善に取り組む国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の矢部さんと濱本さんにお話をお伺いしました。お二人の業務内容やお仕事に対する思いなどをお伺いしたインタビューは、CIEEのもう一つのWebマガジンであるCIEE CLUB「衛星が繋ぐ日本と世界」でご紹介しています。本編と併せてご覧ください。

“一番大事だと思うことは「相手に伝えられる内容で話せるか」ということ”

英語との関わりや業務上での使用状況について教えてください

編集部:
他国間とのコミュニケーションは英語でされているのでしょうか。
矢部さん:
そうですね。電話会議やメールなど全て英語で行っています。
濱本さん:
ごく稀にインタビューや調査などで英語が通じない地域で仕事をすることもありますが、その場合も現地語を英語に通訳してくれる人を挟んで英語で意思疎通をしています。
編集部:
英語は学生の時に習得されたのでしょうか。英語との関わりを教えてください。
矢部さん:
私は学生時代から英語に積極的だったわけではなく、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)に入り海外と関わる仕事に携わったことで、実務を通じて徐々に現場で英語を使うようになりました。日々の業務の中で国際協力で役立つ人材になるために海外生活経験が必要だと思うようになり、海外生活の経験がなかったのでJAXAの海外研修制度に応募し昨年1年間イギリスに行きました。海外研修を通じて英語を母国語とする国で1年過ごせたことは貴重な経験となりました。
濱本さん:
私も学生の頃は英語が得意だったわけではありませんでしたが、英語でコミュニケーションを取ることが好きで、学生時代は1人で海外旅行に行ったり英会話のコミュニティに参加して海外の方とコミュニケーションを取ったりと、積極的に話す機会を作るようにしていました。ただ、実際に仕事で使える英語という意味では、実務を通して様々な経験を重ねて行く中で身に付いたと思います。
編集部:
実際に海外に行かれてみて、どのようなスキルが必要だと感じましたか。
矢部さん:
海外研修に参加する前は、海外の方とはたまに国際会議で顔を合わせる程度で親しい関係ではありませんでしたが、海外研修を通じて日本人と同じように仲良くなることができ、彼らも私たち日本人も同じ感情や感覚を持っていることがわかりました。そういったこともあり、帰国後は仕事で海外の方とコミュニケーションを取る時に構えなくなりました。「彼らも私達と同じ心を持っている」ということを前提でやりとりをするようになったので、例えば電子メールを送る場合も日本人とのやりとりと同じように細やかな心遣いを意識して「忙しいところすみません」「急なお願いをしてすみません」など、相手のことを思いやりながらコミュニケーションを図ることで、スムーズにいくようになりました。

国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)インタビュー

濱本さん:
一番大事だと思うことは「相手に伝えられる内容で話せるか」ということです。「伝えるべき重要な情報だけをまずは用意する」ということがとても大事だと思っています。特に英語圏ではない国との仕事では、お互い英語が母国語ではないので彼らが「理解してくれているかどうか」ということに重点を置いています。彼らが理解していない場合は「まず自分達の話す内容がいかにシンプルで誤解がない情報としてちゃんと伝えられるかどうか」を考え、本当に重要な言葉だけをシンプルな英語で短く伝えるようにしています。そうすることで私自身も話やすくなりますし、仕事上もやりやすくなります。また逆に相手の言っていることが理解できない場合は、何度も繰り返し確認し、お互いの理解にズレがないことを確認するようにしています。そのように「聞くこと」と「話すこと」の両方において、とにかく泥臭くちゃんとお互いが伝えたいことを、はっきりとわかるまでコミュニケーションを取るようにしています。

国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)インタビュー

編集部:
イギリスでの海外研修ではどのようなことを研究されていたのでしょうか。
矢部さん:
ヨーロッパ宇宙機関(ESA)のイギリスのセンターでは、宇宙機関と民間企業が一緒になって、その民間企業が作る有料のサービスとして衛星を使ったサービスを普及させていきたいという狙いがあり、そういう活動を日本でも行いたいため学びに行きました。勤務先はオックスフォードから少し離れたバスで40分くらいのところにある、日本で例えると「つくば」のような研究学園都市がありまして、そちらで仕事をしていました。
編集部:
その経験を通して考え方などご自身に変化はありましたか。
矢部さん:
大きく変わったと思います。語学と彼らの文化を学び、逆に日本の文化も紹介でき、非常に良い経験をさせていただいたと思っています。日本の文化としてカラオケパーティーを度々企画することがあったのですが、皆喜んでくれてとても盛り上がり、仕事では見られない一面を見ることができとても楽しい思い出となりました。
編集部:
濱本さんは学生の時に1人で海外旅行に行かれたということですが、その時の経験をお聞かせください。
濱本さん:
初めての海外旅行は大学2年生の時にタイに行きました。その後も大学の学部の卒業旅行でヨーロッパに1週間程行って、大学院の卒業旅行で南米に3週間程行きました。初めて行ったタイでは飛行機の手配から全て1人で行いました。国際空港に1人で降り立って、「どちらに進めば外に出られるのだろう」「タクシーの運転手にどう伝えれば目的地に行けるのか」など、色々と苦労した記憶がありますね。今となってはとても良い思い出です。

国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)インタビュー

TOEFLテストについてのお考えをお聞かせください

矢部さん:
TOEFL® テストの受験経験はありませんが、JAXAでは段階的に英語の試験を受けることになっています。そのように定期的に英語の試験を受けることで、自分の足りないところや実力が顕になる気がしますし、今後の改善点に気づくきっかけになると思います。
濱本さん:
私は団体向けTOEFLテストプログラムであるTOEFL ITP® テストの経験はあるのですが、インターネット版のTOEFL iBT® テストの受験経験はありません。段階的に受ける試験を通じて「英語のスキルが伸びた」と実感でき、逆にそれが仕事でもモチベーションになっています。

TOEFL Web Magazineの読者にメッセージをお願いします

編集部:
読者の中にはJAXAを目指されている方も多いかと思います。今回は英語に苦手意識を持っていると言われている理数系の生徒や学生の方に向けてのアドバイスやメッセージをお願いします。
濱本さん:
まず研究や自分がやりたいことのために、人とのコミュニケーションが必要なのかどうかということを、考えてみてはいかがでしょうか。例えば日本の国内で誰とも話さずに、数学の研究をとことんやり続ける気持ちがあるのならば、極端な話ですが日本語も英語もいらないと思います。でもそうではなくて、興味がある論文について知りたいと思ったらその研究者に聞くのが一番だと思うのですが、そういう場合にコミュニケーションは必要になってきます。そういった意味でコミュニケーションが大事だと思うのであれば、かつコミュニケーションの相手が国内に留まらないのであれば、英語はツールとして最低限習得した方が、本当にやりたいことの近道になると思います。
個人的に思うことですが、国際舞台ですごく活躍している日本人でも英語がそんなに上手ではない方もいますし、かっこ良く話す必要ありません。伝えたいこと、知りたいことを英語で話せればそれで良いと思います。
読者の皆さんは、きっと英語が必要になる世界に進むことを考えている人が多いと思います。嫌いでも今のうちに頑張って習得していけば、この先が楽になるんじゃないでしょうか。
矢部さん:
私たちも学生時代に英語が得意だったわけではないので、英語に対して「構えなくていいのではないですか」ということです。皆さんも日本語は当然話して生活しているので、「英語ってなんか格好いい」「話せると凄いよね」ということではなくて、英語を母国語としている国では、それは本当に生活上必要なツールなだけなので、「使わないとしょうがないでしょう」という程度のことで、そんなにかしこまらなくてもなんとかなるので大丈夫です。

国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)インタビュー

 

  • 国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)
  • 2003年に宇宙科学研究所(ISAS)、航空宇宙技術研究所(NAL)、宇宙開発事業団(NASDA)の3機関が統合して誕生した。日本政府全体の宇宙開発利用を技術で支える中核的実施機関として同分野の基礎研究から開発・利用に至るまで一貫して行う。「宇宙と空を活かし、安全で豊かな社会を実現する」ことを目指す。2015年4月に国立研究開発法人となる。
    宇宙航空研究開発機構(JAXA) Webサイト:http://www.jaxa.jp/
上記は掲載時の情報です。予めご了承ください。最新情報は関連のWebページよりご確認ください。