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  • TOEFL ITP® テスト
  • 桐光学園中学校・高等学校
  • 清沢健二先生

 

TOEFL ITP® テストを受けることで生徒は現状のアカデミックな英語能力における習熟度を客観的に知ることができ、それが次のテストに対しての英語学習のモチベーションとなる”

ユニーク講習‘Academic Skills for Study Abroad’におけるTOEFL ITPテスト活用実践報告 ―前編―

1.ユニーク講習‘Academic Skills for Study Abroad’とは

桐光学園では、生徒がそれぞれの興味関心のある分野において、知的好奇心や探究心を喚起していくことを目的とした「ユニーク講習」というものを実施しています。ユニーク講習は希望制のものであり、毎週土曜日の放課後、中学1年生から高校3年生までの生徒(男女)が共に学習するものもあります。私が本校に赴任した3年前より、このユニーク講習として‘Academic Skills for Study Abroad(以下ASSA)’という講座を開講しました。本講座では将来欧米の大学へ留学を希望する生徒を対象に、そのための準備を行っています。今年度は全学年から104名の受講生が集まり、2つのレベルに分けて実施しています。

本講座の目標は、大きく分けて二つあります。第一に、将来海外の大学に進学することを希望する生徒が、TOEFL®テストにおいて入学基準となるスコアを取得していくためのトレーニングをすること。そして第二に、実際に海外の大学に留学した際、最低限の成績を取得してアカデミックにサバイバルするために必要とされる、論理的思考スキル (Logical Thinking, Critical Thinking) 、課題解決能力 (Problem Solving) 及びプレゼンテーションスキル (Oral and Written Presentation) を養っていくことであります。特に第一の目標であるTOEFLテストのスコア取得を目指し、本講座ではカリキュラムの中にTOEFL ITP® テストを導入し、受講生全員が年に2回(6月及び1月)に受験することを必修としています。今回は、本講座においてのTOEFL ITPテスト活用事例を紹介させていただきたいと思います。

2.TOEFL ITPテスト導入の経緯

近年の英語教育でキーワードになっていることは、「コミュニケーション能力の育成」と言うことができるでしょう。ここで言うコミュニケーション能力とは、「日常会話で英語を使って意思疎通できる」であるとか「特定の職業(特にビジネス)分野において英語で交渉することができる」といったような捉え方をされることが多いのではないかと思います。しかしながら、中学校、高等学校といった中等教育の現場において本当に必要な英語教育とは何であるかと考えた時に、アカデミックな観点での英語運用能力の育成と言う要素は外せないものであります。アカデミックな世界では、リサーチ文献を英語で読み、論文を英語で書き、学会の発表もまた英語で行うのが一般的になっています。中等教育が大学や大学院への準備期間である以上、高等教育においてアカデミックにサバイバルしていく英語能力の育成は、学校英語教育において不可欠なものとなります。

こうした背景から、本講座ではアカデミックな英語能力を測るための試験であるTOEFLテスト のスコア取得を目指してトレーニングを行ってきました。TOEFLテストは英語圏の高等教育機関が入学希望者の外国語としての英語力を判定する際に用いられており、そのためのトレーニングをしていくことは生徒の将来に繋がるものであると確信しています。しかし、TOEFLテストの本試験(ここではTOEFL iBT® テストとする)にはいくつかの問題点があります。それは①受験費用がTOEFL ITPテストと比較して高額である(2013年11月現在で$225)、②受験会場が限られている(2013年11月現在で全国約90か所)、③問われる英語力が非常に高度なレベルにある(学習途中の中学生、高校生にはレベルが高すぎて、正確な学習到達度の測定が難しい)、といったことが挙げられます。これらの問題は、中学1年生から高校3年生までの様々な経歴や背景を抱えた生徒を受け入れている本講座にとって、全員に受験させる上で大きな壁となっていました。

そこで着目したのがTOEFL ITPテストです。TOEFL ITPテストはTOEFLテストの約6分の1の費用で利用することができ、テストも校内において実施することが可能です。とりわけ導入の決め手となった要因は、その難易度設定にあります。TOEFL ITPテストはTOEFLテストと同じ難易度のレベル1だけでなく、より易しい問題で構成されたレベル2も用意されています。TOEFLテストのようなスコア型の英語能力試験を実施していく上で最も重要なことは、生徒が自身の習熟度合いを定点的に観測していくことにあります。TOEFL ITPテストを受けることで生徒は現状のアカデミックな英語能力における習熟度を客観的に知ることができ、それが次のテストに対しての英語学習のモチベーションとなると考えました。

3.TOEFL ITPテストの活用とその効果

ASSA Advancedクラスでは、4月から6月の間にTOEFL ITPテスト受験へ向けた対策として、「アカデミックリーディングのトレーニング」及び「アカデミックリスニングのトレーニング」を実施しました。アカデミックリーディングのトレーニングでは、「携帯電話の校内使用」「死刑制度」「子どもの臓器提供」「外国人労働者の受け入れ」といった賛否両論のある問題を取り扱ったリーディング教材を使いました。英文で書かれた論説文のパラグラフの構成、論理展開、ディスコースマーカーの特徴について説明した後、取り扱った題材についての内容の共有を生徒同士で行います。そして題材のテーマに関して賛成と反対に分かれて英語でディスカッションを行う、という方法を取りました。これらは全てTOEFLテストで問われるリーディング能力を踏まえたトレーニングとなります。


▲ プレゼンテーションの様子

アカデミックリスニングのトレーニングでは、アメリカ政府が運営する国営放送であるVoice of America (VOA) 及びアメリカのケーブルテレビ放送局のCNNを取り扱いました。特にVOAにはLearning Englishと呼ばれるシンプルな文構造でゆっくりと発話する英語放送があり、ナチュラルスピードの英語に対応する力を段階的に養っていくことができます。VOA Learning Englishで英語のニュース放送に段階的に慣れていくことで、TOEFLテストで問われるリスニング能力を養っていきます。

このようなトレーニングを重ねた上で、本年度第一回目のTOEFL ITPテストを6月に実施しました。後述する帰国生特別授業を受けている生徒からも希望を募り、計125名の受験となりました。本校では初めての試みであったため、データ収集の目的から全員が難易度の易しいレベル2での受験です。結果として、今回の受験で非常に高いスコアを出した生徒がいた一方で、多くの生徒が自身のスコアに悔しい思いをしたようです。スコアレポートを返却しながら一人一人面談を行い、それを基に苦手としている分野を確認し、伸ばしていくべき分野の学習方法を話し合う機会を設けました。スコアに対して悔しい思いをするということは、現状の自身の英語力を客観的に分析し、これからの学習に繋げていくきっかけとなります。これは、TOEFLテストのようなスコア型の英語能力試験を実施していく上で最も大切なことになります。

TOEFLテストで問われるようなアカデミックな英語能力は、一朝一夕では身に付けることができません。TOEFL ITPテスト受験前に実施したリーディングやリスニングのトレーニングは、今後生徒が自ら英語を学習していくためのヒントを与えたに過ぎないのです。生徒には、これらのヒントを最大限に活用して継続的に学習を続けていくように伝えてあり、生徒はその意味を十分に理解しているように感じられます。ある生徒は、「TOEFL ITPテストを受けたことで、普段の英語の授業がいかに大切かわかった」と言っていました。また英語の授業を担当する教員からも「以前より積極的に質問してくるようになった」と報告を受けています。今回のTOEFL ITPテストを受験したことで、生徒の英語学習に対するモチベーションは着実に上がってきていると実感しています。


▲ 授業の様子

清沢先生にご寄稿いただきました「ユニーク講習‘Academic Skills for Study Abroad’におけるTOEFL ITPテスト活用実践報告 ―後編―」は、12月24日にUPします。お楽しみに!

  • 桐光学園中学校・高等学校 清沢健二先生プロフィール
  • 長野県立松本深志高等学校卒業。早稲田大学教育学部英語英文学科在学中、オレゴン大学へ交換留学(言語学専攻)。株式会社三井住友銀行で社会人経験をした後、英語科教諭として桐光学園中学高等学校へ勤務。「アカデミックスキルの育成」を信条に、世界基準で夢を叶える教室作りを目指している。今年度は高校生模擬国連活動の顧問として、初出場ながら全日本大会に導いた。
  • 桐光学園中学校・高等学校
  • 神奈川県川崎市麻生区に所在し、男女別学の中高一貫教育を提供する私立中学校・高等学校。高等学校からの入学者も受け入れている。国内の難関大学合格者数は神奈川県内でも上位に位置づけられる傍ら、高校野球や高校サッカーなどのスポーツでも全国屈指の名門校として知られる。「次世代の新しいリーダー」の育成を教育目標としており、近年では英語教育や国際教育に特に力を注いでいる。
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