TOEFL メールマガジン

達セミに学ぶ 英語学習のヒント

バックナンバーはこちら

英語教師による英語教師のための情報シェアの場「達人セミナー」通称「達セミ」をご存知ですか。毎週のように自発的かつボランティアで全国各地にて開催され、それぞれの授業方法を公開しシェアしています。基本的には中学・高校の教師の方々が中心ですが、その授業には英語を楽しく学ぶヒントがたくさん隠されています。その中から毎号1名の先生にレポートしていただきます。

今回のヒントはこれ:

  • 「情報構造」に注目して読む

日米会話学院
鈴木英規 先生

以下の(a)~(e)にふさわしい回答を、それぞれ1~5から選んでみましょう。

  • (a) Those tomatoes, did you say that on Wednesday John picked them?
  • (b) When did John eat the tomatoes?
  • (c) Who ate the tomatoes?
  • (d) But the tomatoes, when did John eat them?
  • (e) What did John eat on Wednesday?
  • 1.John ate the tomatoes on Wednesday.
  • 2.The tomatoes John ate on Wednesday, (the spinach on Friday)
  • 3.On Wednesday, John ate the tomatoes.
  • 4.The tomatoes were eaten on Wednesday by John.
  • 5.What John did to the tomatoes on Wednesday was to eat them.

from Goatly, Andrew (2000) Critical Reading and Writing: an Introductory Coursebook, Routledge: London and New York.

英文には、いわゆる「五文型」のような「文法構造」と異なり、伝えられる情報が、読み手や聞き手にとって古いものから新しいものへと移行していく、という「情報構造」があります。読み書きなら、読み手は、まず、すでに知っている情報を、書き手と共有していることを確認し、その後で、新しい情報を受け取ることのほうが、その逆よりも理解しやすいからです。つまり「情報構造に注目して読む」とは、読み手にとって、すでに知っている情報と初めて知る情報とが、文中でどのように展開するのか、に注目して読むということです。

「文法構造」は、英文が与えられれば原則的に決まるのに対し、「情報構造」は、コンテクストが与えられないと決まりません。例えば、John read Shakespeare.の文法構造はSVO型で、Shakespeare was read by John.は、その受動態です。しかし、これらがWhat did John read?の回答であるなら、John read Shakespeare.は「既知→新出」に、Shakespeare was read by John.は「新出→既知」になり、前者の方が、より身構えて受け取ることができます。また、これらがWho read Shakespeare?の回答であるなら、John read Shakespeare.は「新出→既知」に、Shakespeare was read by John.は「既知→新出」になり、後者が「心理的に自然」です(池上(1995)pp.59-9)。つまり、同じ英文であっても、コンテクストが変われば、「情報構造」は逆転するのです。

日本の英語教育は「文法構造」ばかりで、「情報構造」に十分注目しているとはいえません。その一例として、コンテクストの与えられない文単位の「英作文問題」などが思い当たります。しかし、主体が客体に行為する「他動詞文」の多い英語と違い、日本語は「象は鼻が長い」「僕はウナギだ」「コンニャクは太らない」など、シーム(theme:主題)とリーム(rheme:解説)で展開する代表的な言語なのです。であるのなら、そうした思考様式をむしろ活かして、主題進行を意識しながら読み書きすることのほうが、はるかに効果が上がるのではないでしょうか。最後に、情報構造に注目して読む際の「コツ」をまとめておきます(谷口(1992)pp.51-85)。

(1) 文法単位は「文」であるのに対して、情報単位は「節」。文ではなく、節で区切って読む。

(2) 主題進行が「平行型」なのか、それとも「連続型(バケツリレー)」なのか、に注目して読む。

(3) 英文は、読み手や聞き手にとって「旧情報(情報価値が比較的低い)」から「新情報(情報価値が比較的高い)」へ流れる。一つの情報単位(節)には、少なくとも一つの新情報がある。たいてい節の末尾に新情報が置かれる(End Focus Principle)。

正解:(a)-5, (b)-1, (c)-4, (d)-2, (e)-3.

▲このページのトップへ戻る▲