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CIEEレポート

今号より、CIEE日本代表部が主催、参加したセミナーやイベント等について、レポートする新コーナーがスタートしました。教育関係の皆様に耳よりの情報をお知らせしていきます。

第1回目の今回は、昨年11月に開催されたCIEE年次大会の様子を、CIEE日本代表部エグゼクティブ・アドバイザーの仲野友子がレポートします。

国際教育交換協議会(CIEE)日本代表部
エグゼクティブ・アドバイザー 仲野 友子

CIEE年次大会の報告

創立62年目を迎えたCIEEの年次大会が、昨年11月11日から4日間イスタンブルで開催された。今回のテーマは、「CULTIVATING CULTURE, local foundations, global perspectives」。

CIEEは1947年にアメリカの4名の教育者の発案で生まれたNPO。法人会員の8割以上がアメリカの高等教育機関のため、出席者400名はほぼアメリカの大学でアメリカ人学生の海外派遣を担当している職員や教授であった。年次大会においては、CIEEの意志決定機関である理事会において、前年の事業報告や次年度の事業計画の発表と承認という重要な実務が遂行されるが、中心となる企画は”concurrent sessions”(分科会)。今回は、学術的研究や実務的な内容を併せて約30の発表が行われた。

【CIEEのCEO/President Dr. Steven Trooboffによる開会の挨拶】

【CIEEのCEO/President Dr. Steven Trooboffによる開会の挨拶】

学術的研究発表
カリキュラムの国際化、国際的な資質の育成や、海外留学や異文化体験による学習効果の評価などに関する事柄
実務的な内容の発表
学生・保護者・大学を対象とした事前準備、危機管理、応募した学生が精神的疾病をかかえている場合の対応、Washington Update、iPhoneを利用した事前準備など
特別ゲストによる講演
オープニング講演
Dr E.Fuat Keyman, Department of International Relations, Koç University
昼食会での講演
Ms Jessica Lutz, Journalist

発表と質疑応答という通常の形式に加え、ケーススタディを中心としたワークショップもあり多彩であった。プログラムはCIEE本部のWebサイトから参照できる。いくつかのセッションで使用されたパワーポイントも掲載されているので、ご興味のある読者の方はこちらを訪問していただきたい。

CIEE本部のWebサイト
(http://www.ciee.org/conference/past/istanbul-schedule.aspx)

前述のとおり、参加者のほとんどがアメリカの高等教育関係者なので、テーマの文脈はアメリカ。よって、今回の収穫は、現在のアメリカの高等教育における海外派遣の課題や関心事を概観できたことであった。

さて、その中でアメリカ人学生の海外留学の伸びについて得た情報を報告したい。

【分科会】

【分科会】

IIE (Institute of International Education)によると、2007-2008年のacademic yearにおいて、海外留学をしたアメリカ人学生(semesterやone year)は262,416名で前年より8.5%増となった。この数字は、帰国後、所属大学から単位を取得した学生数である。26万人余りの学生の留学先は、56%がヨーロッパ、15%がラテンアメリカ、11%がアジア、5%がオセアニアとアフリカである。トップはイギリスの33,333人、2位はイタリア30,670人、続いてスペインが25,212人。日本は11位で5,710人(対前年13.9%増)である。翻って海外留学する日本人学生数は、財団法人日本学生支援機構が発表している平成20年度「協定等に基づく日本人学生留学状況調査結果」で24,508名と報告されている。

調査対象の属性が異なるので単純比較はできないのだが、確かに大きな開きがありそうだ。

アメリカ人学生の海外留学者数が右上がりになっている状況は、CIEE本部が取り扱う人数からもうかがえる。CIEE本部は、メンバー大学を母体としてコンソーシアム(連合体)を形成し、アメリカ人学生を海外へ派遣しはじめてから既に40年が経っている。最初のプログラムは1967年に開始されたソ連(当時)のレニングラード大学での企画。現在約240のメンバー校を有し、ここ10年で派遣先は23ヵ国46プログラムからから40ヵ国125プログラムに拡大し、派遣数も1,750人から5,000人に急増している。

この拡大の背景には、1991年から始まった国家安全保障教育プログラム (National Security Education Program, NSEP)(*i)や2006年に発表された国家安全保障言語構想 (National Security Language Initiative, NSLI)(*ii)という連邦政府の政策が大きく影響したのでは、と考えられるが、CIEE本部の幹部は、「確かにこれらの政策により予算化された資金が後押しをしたことは確かだが、急増の一番の理由は2001年のSeptember 11 同時多発テロ事件。『なぜこのようなことが起きたのか』と学生が海外に目を向けるようになったことだ。」と言う。また、CIEEは過去10年間、学生の関心の動きを予測して、中東、アフリカなどにおけるプログラムを積極的に開発してきたことが功を奏したのであり、政府の政策の影響は低いと述べている。

【CIEE本部コンソーシアム企画について大学関係者との交流会】

【CIEE本部コンソーシアム企画について大学関係者との交流会】

しかしながら、CIEE本部のみならずアメリカの国際交流団体や大学では ”non-traditional destinations” というくくりに、連邦政策で定義している重点言語(critical need foreign languages)を包含し、かつ奨学金を活用できることが学生の関心を高めていることは事実である、としている。実際、前述のIIEの報告によると、中東への留学者数はまだ全体の1%弱であるが、前年より22%増となっている。

派遣先の多様化の中で、帰国後「I have a problem with credits」と単位を認められない学生を出さないために、アメリカの大学教授と受入大学との連携をどうしたらよいのか、アメリカとは異なる指導方法や教育文化の中で、学生がその違いを否定するのではなくどのように理解し、ポジティブに考えられるよう助言するのか、国際交流にかかわる大学教職員として、熱い議論が続いていた。

参考文献

  • 「NSLIに関する国務省の2006.1.5報道発表」 東京大学国際連携本部・舟守美穂、2006/9
  • 「先導的大学改革推進委託事業調査研究報告書一覧:『各国における外国人留学生の確保や外国の教育研究機関との連携体制構築のための取組に関する調査』報告書、アメリカ合衆国調査報告」平成19年3月 国立大学法人広島大学
  • 冷戦終結後、アメリカの国家安全保障に重要(critical)と考えられる言語と文化に秀でた国家要員を養成するプログラム
  • 2006年1月にブッシュ前大統領が発表した構想で、アメリカの経済競争や国家安全保障に需要と考えられる重点言語(critical need foreign language)を学んだり、話せたり、教えるアメリカ人を増やすために、幼稚園から大学、そして就業の場まで外国語教育を拡大することを目指している。

感想

久しぶりに数百人のnative-English speakersに囲まれ、学術的な発表の分科会では専門的な知識不足もあり孤独感を味わった。普段、CIEE日本代表部の企画で渡航する学生に、「自分の意見を述べるように」と力説しているが、ケース・スタディを扱ったワークショップではなかなか考えが浮かばず、最後の方にちょっと付け足し程度。言うは易し、行うは難し。日頃から課題意識を持っていないと意見が浮かばないと痛感。英語では、読む、聞く、考える、話す、書く(メモをとる)と5技能をフル回転。TOEFLテストの勉強は役立つ!とも実感した。

 【Coffee Break】

【Coffee Break】

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