本校の英語教育実践は人間教育の面からも考えてきた実践です。英語の授業を通して「人間」を育てたいという思いは本校職員の共通した思いです。本校の英語教育は「自主の人」「創造の人」「世界の人」という学校教育目標に照らし合わせ、国際科・普通科共に英語学習を通して「社会を知る」「世界を知る」ことを目的に実践しています。その中で “my English” および “class community” の構築をキーワードに実践を行っています。
「世界の人」として、現代社会のキーワードである「共存する世界」を作り出すためには他者を理解するのと同時に自分を理解してもらわなければなりません。そのためには「自己表現」は必要不可欠です。つまり英語を産出しなければなりません。英語を産出するとき、高校現場の実践は新出構文にのみ焦点化した実践が多く見受けられますが、自分が伝えたいメッセージ・内容を理解してもらうために伝達相手に極端な理解をしてもらう努力を強いることを避けるためには、その伝達内容を支える下位技能(機能語)への習熟が大きな役割を果たします。EFL環境下でこの下位技能の自動化を実現するには、生徒にとってほとんど唯一といっていい言語使用場面である教室内で、新しい表現・語彙を学習することと、中学校以来学習してきた英文の基本構造である「主語+動詞+α」を中心とした下位技能の訓練が統合された授業つくりが必要不可欠になってきます。そしてその下位技能を含む英語(読むこと・聞くこと)を数多くmy Englishのコアとして取り入れ、そこから「自己表現」としてのアウトプット(書くこと・話すこと・やり取りすること)へつなげることがEFL環境での唯一の言語習得への方法だと考えます。
また、ディスカッションなどの英語による「やり取り」場面を実現するためには、その土壌であるクラスが学習集団として成立していることが最も大切です。自分の学習権が保障されるためにクラス構成員全員の責任感を伴う必要があると同時に、「中間言語としての英語」をお互いに許容し、助け合う仲間つくりが大切になってきます。つまり、教室は全員の練習の場であり、相手の英語力が向上しないと自分の英語力も向上しないと思わせる授業つくりが大切であるということです。本校が考える class community とは以上のことを踏まえて、さまざまな考えや能力を持った人々が「共存する世界」をクラス内に作り出すことです。
英語教育の目指す方向性は生徒の英語技能がどの段階であっても「英語が将来実際場面で使えるようになる」技能を身につけさせることであると考えられます。その中で本校の英語教育における指導のポイントは以下の2つに集約されます。
●英語の基礎体力作り=focus-on-form
生徒の実態に応じた英語の概略が理解でき(第一義)、各発達段階のレベルに応じた通じる英語を発信できること。(global errorを極力減らすこと)
●自律した学習者の育成=興味・関心の持続
高校卒業後も自分で英語学習に取り組もうとする姿勢を育成すること。そのために、英語学習が「楽しい・やりがいがある」「役に立つ・得する」と思わせることと自分で英語学習ができる方法を伝授すること。
上述の2つの指導のポイントを実現するために本校の実践は5つの柱から成り立っています。以下がその具体的実践の骨子です。
1.到達度(熟達度)尺度の設定
2.教材の選定と配列
3.5技能統合に基づく指導方法*
4.クラス・コミュニティー(適切な学習集団)
5.学習方略(授業と家庭学習をつなぐ)
*本校では「やり取り」を1つの技能と見なしているので5技能
1から5がそれぞれ関連しており、どの要素を切り離しても実践は成立しないものとなっています。そしてその結果として「達成感のある授業」にたどり着くことができると考えます。今回は4のクラス・コミュニティーに絞って紹介します。 |