TOEFL Mail Magazine Vol.57 May2007
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特設インタビュー・英語でしゃべらナイト

NHK総合テレビで毎週月曜日の23時から放送されている人気番組、「英語でしゃべらナイト」。英語学習者の皆さんなら、もうご存知ですよね?TOEFLメールマガジンでは、過去2回にわたり、番組プロデューサーの丸山氏にお話をうかがってきました。第3弾となる今回は、この春より新しくなったキャスティングや、さらに進化をとげていく番組についてインタビューしました。さあ、皆さんも月曜の夜は「英語でしゃべらナイト」!


丸山 俊一(まるやま しゅんいち)氏

NHK制作局 「英語でしゃべらナイト」「爆笑問題のニッポンの教養」チーフ・プロデューサー1962年松本市生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、NHK入局。
衛星放送局、番組制作局教養番組部ディレクターなどを経て、現職。ディレクターとして、「特集エルミタージュ美術館〜女帝エカテリーナの夢〜」「新装ルーヴル美術館・まるごと大中継」「新日曜美術館」など、多くの美術番組を演出、構成。
その他にNHKスペシャル「英語が会社にやってきた〜ビジネスマンたちの試練〜」。
土曜特集「世界を駆ける日本料理」、「爆笑問題×東大 東大の教養」などを制作。著書に「異化力!」(水高満との共著)など。



■■■ キャストの方々 ■■■ 
押切もえさん
八嶋智人さん
パトリック・ハーランさん

青木実アナウンサー

押切 もえさん


八嶋 智人さん


パトリック・ハーラン
さん


青井 実
アナウンサー


■■■ ナビゲーター ■■■
クリス・ペプラーさん
クリス・ペプラーさん



---前回のインタビューからちょうど1年が経ちましたね。この4月からはキャスティングが一新されたようですが、その経緯を教えてください。
 お蔭様で、昨年度までのレギュラーだった釈由美子さん、松本和也アナウンサーが非常に好評で、パックンとのチームワークも素晴らしく、4年間視聴者のみなさんに楽しんでいただき、この「チーム」に実に熱い応援をいただくことができました。しかし、二人とも幸か不幸か?英語力も向上してしまいまして・・・(笑)、泣く泣くの卒業です。そして、また新たに、意欲に燃える、新鮮な方々にこの春から加わっていただくことになりました。基本的なキャスティングの考え方は今回も変わっていません。つまり、それぞれ、英語を通してご自身の夢を膨らませていってもらおう、それぞれの個性を大事にしたアプローチで、コミュニケーションの本質に迫っていってもらおう、という考え方です。
 押切もえさんは、トップモデルとして世界に進出するためにはやはり英語が必須であると、2年前から、プライベートで勉強されていたようです。自分から、英語を通して表現の世界を広げていこうという意識も強くお持ちです。
 一方、八嶋智人さんはその意味では、英語に関しては押切さんとは対極(笑)、受験以来英語から遠ざかっていらした方です。昨年、ハリウッド映画の吹き替えをされて、その縁でレッドカーペットを木村佳乃さんと一緒に歩む経験をされたのですが、その場面を番組でもご紹介させていただいたのがきっかけで、今回のレギュラーに加わっていただくことになりました。今、芸能界、ショービジネスそのものが、世界とどんどん繋がっていっています。八嶋さんも俳優としての実力、実績を考えれば、今後は「ハリウッドでお仕事を」という可能性もあるわけですし、彼の中でも、英語への思いが芽生え始めていたようです。「30歳過ぎて新しいことに挑戦することはなかなかない、こういう機会に経験を生かしてどこまでできるか試してみたい」と、ありがたい決意表明もいただいています。
 青井実アナウンサーは、実はかつて大学時代は商社志望だったこともあり、将来国際派キャスターになりたいという夢もあるようです。海外の生中継などで通りすがりの人に自然な英語でインタビューをしたい、自分の言葉で伝えたい…など。そこに向かって頑張っていくことは、仕事上だけでなく個人的にも決して悪い経験ではないでしょう。
 ファッション、ショービジネス、放送と、三者三様それぞれの世界で描く夢と「英語でしゃべらナイト」が繋がる、というイメージで、今回キャスティングさせていただきました。バラエティータッチの番組ですので、三人の個性を十分生かした上で、「チーム構成」のバランスも考慮しました。各キャストの、その他の番組とはまた違う一面も皆様にお見せできるよう、挑戦していくつもりです。ホームページでも、みなさんの個性を反映したコーナーでご紹介をしています(英語でしゃべらナイトホームページ)。
 そしてもちろん、言うまでもなくパックン=パトリック・ハーランさんは、この番組にとってかけがえのない「先生」です。知性の部分と、日本のお笑いに目覚めているという幅の広さが魅力で、このたびも続投していただきました。

---ナビゲーターのジョン・カビラさんもクリス・ペプラーさんにバトンタッチされましたね。

 昨秋にカビラさんが海外に行かれることとなり、ペプラーさんにお願いしました。お二人ともバイリンガルDJの草分け的な存在ですし、「英語のリズム」のようなものは変わっていませんが、でも、もちろん、ペプラーさんのナビゲーションにはまた独特の味がありますから、ポロッと漏れるアドリブなど、番組を魅力的に彩っていってくれています。
 ペプラーさんの英語のシャワーの中、根本的な思想、テンポは変えず、その中で三人のキャストの新たな個性が「番組」という器の中でどんな風に広がっていくのか、私たちも期待しています。


---「英語でしゃべらナイト」は、私どもがバラエティー番組に抱くイメージよりも、包容力のような大きな豊かさがあるように感じます。

 従来のきっちり作られたバラエティーと少し違い、ドキュメントバラエティーと言いますか…、ですから、ラジオのパーソナリティーがアドリブを交えながら語ってくれる感じで流れていくのが心地よいと感じてくださる視聴者の方は多いようです。確かに、ナレーションが全ての出演者を包み込み、受け入れていく感覚は、番組のイメージとしてかなり大きいのではないでしょうか。ですからペプラーさんも、実は隠れた第5の出演者となっています。
英語でしゃべらナイトポスター 余談ながら個人的に、ジャズやボサノバの感覚、スイングしていく感覚が好きなので、いい意味での出たとこ勝負、意外性のある出会いの楽しさが、番組の隠し味になっていてくれたらいいな、と思います。でももちろん、基本はしっかりとできていなければ、ジャズもアドリブが生きてこないのですから、番組も基本設計はしっかりと・・・。
 この番組作りの背景には、「正しい英語表現が出てくれば勿論OKだけれども、同時にNGもOK」という私たちの精神があります。正しい表現を伝えつつ、それ以上にもっと根本的に、人に物事が伝わるときの、人の心の動き方を含めて、共感をもって見ていただくためにも、そうした部分は、作りごとにはしたくなかったのです。つまり、極論を言えば、ただ正しいことだけにこだわって表現していても心がこもっていなければ伝わりません。逆に、拙くて、少々間違っていても、熱意であったり誠実さであったり、その方の個性を生かしたアプローチであれば、空気として伝わったり、その間違った表現でもいいコミュニケーションができてしまうこともあります。その瞬間をしっかり伝えたい…。綺麗にカメラワークが決まっているよりは、そこで起こったことをちゃんと追いかけてゆくドキュメント的な作りの方が、みなさんに楽しんでいただけると思いますし、また、本質を見失わないために、大事なことではないでしょうか。実際に4年間この方法で走ってきて、固定ファンの方々が強く支持してくださっています。ですから、この精神は変えないで行きたいですね。


---TOEFLテスト受験者をはじめとする英語学習者だけでなく、この番組を通して英語に興味を抱いたり、番組そのものを楽しむ一般の視聴者が増えているように思います。事実、私もファンの一人です(笑)。

 ありがとうございます。嬉しいことに、この番組を通して、既存の英語学習者だけでなく、素直にトーク番組として楽しんでいるうちに、英語が好きになった、英語に興味を持ったという人も増えているようです。そこには、英語という「もう一つの言語」を学ぶことで、背景にある文化を学ぶことにもなり、ひいては、「もう一人の自分」を発見する楽しさにもつながっているのではないでしょうか。番組がきっかけで、言語の違う相手に対する想像力や、相手の文化を踏まえた上での思いやりを持つこと…。それはコミュニケーションの本質に意識が向かうことになります。事実、そういう楽しみ方で見て下さっている方も多いという手ごたえは感じています。


---英語で話すとジョークが堪能になったり明るくなる人も多いと聞きます。それも「もう一人の自分」を発見したことになりますね。英語を話す効用について何か実感されることはありますか?

 英語そのものが、その人の隠れている人格を引き出すおもしろい装置なのではないでしょうか。英語で表現しなければならない状況下で、人間性も顕れ、それがまた違う魅力にもなります。日本語では普段意識しないで物事を考えていて、英語で表現する時になって初めて自分のニュアンスを正確に伝えるにはどう言うべきか考えることで、自分の表現や思考の癖、感覚を考え直すのでしょう。たとえば、通訳の方が必ずしも自分が意図しているように訳してくれるとは限りません。英語という言語以前に、人と人がコミュニケーションする時に、一体どの部分でどう分かり合えるのか。他言語を話すときには、そういうことも含めて、自然と顔の表情が変わったり、ジェスチャーが大きくなったりするのかもしれませんね。


---この番組では、英語だけでなく、自分と向き合うこと、コミュニケーションとは何か、も同時に学ぶことができるのですね。とても奥が深いです。

 昨年度までのレギュラーの卒業スペシャルで松本和也アナウンサーが、「この番組では英語も勿論学んだけれど、それ以上にアナウンサーとしても必要な日本語でのコミュニケーションについて考えるようになった」と言っていました。釈由美子さんも、「この番組で人間的に成長できた」と言って卒業されました。それは、私たちとしてもとても嬉しいことでした。
 英語でしゃべらナイトのキャストの方々「国際化」というときに、ともすると、「国際標準」という言葉のマジックでしょうか、あたかもひとつの基準しかない、ひとつのルールで世界はできている・・・という方向に走りがちです。「世界はひとつ」ということが、単に「平準化」、ということになってしまったら、実に皮肉です。そうした閉じた方向で、精神を萎縮させてしまうことなく、常に自分を開き、全く異なる環境、文化にある方ともわかり合え、共存できるような、「共生」のセンスを考えるきっかけになってくれたら嬉しいですね。笑いながら、異文化コミュニケーションを感じてほしい、と思います。


---笑いながら、が大切ですね。同じ「笑い」でも、民放の番組とはどこか違いますね。NHKのエンターティメント番組の存在意義についてはどのようにお考えですか?

 確かにNHKで何かエンターティメントをやるからには、民放とは違うオリジナリティーがあるべきです。NHKでしかできないことは何かと、常に自らに問いかけています。一つのあり方として、「英語でしゃべらナイト」を制作するにあたり、異文化、教養というテーマを、教養バラエティー、教養エンターティメントの分野で、NHKだからこそ、あえて愚直に真正面からやりたいと思いました。教養や文化の番組を、市場原理から少し離れたところで考えられるのはNHKの強みであり、求められていることだとも考えています。しかし、オーソドックスなドキュメンタリーではなく、演出も含めて僕らの工夫にもよるのですが、通常民放を見ている方でも違和感なく見てもらえる、その上で、一味違う何かが残る番組を目指して、常に演出などを工夫しています。
 実は、その発想の延長上で、この「英語でしゃべらナイト」班から、兄弟番組というか、もうひとつの新しい番組が生まれました。「爆笑問題のニッポンの教養」と言います(総合テレビ・隔週金曜11時 ホームページ)。こちらも、爆笑問題のお二人が、学問と言う「異」質な世界に挑む、異文化コミュニケーション番組、と考えています。もちろん扱う内容は英語と直接的には関係ないですけれども、こちらも、ドキュメンタリー的な要素を持った、真剣勝負のトーク番組という部分では一緒です、笑いを忘れていないところも一緒です(笑)。ぜひ、月曜は「国際化」、隔週金曜は「教養」という時代のテーマを扱う、どちらも夜11時からのエンターティメントを見ていただけばうれしいですね。


---多くの視聴者の支持を得て、さらに飛躍されることでしょう。これからの意気込みをお聞かせください。

 この4年の間に番組を取り巻く環境もずいぶん変わりました。「英語でしゃべらナイト」が生まれるひとつのきっかけだったNHKスペシャル「英語が会社にやって来た」を放送したのは2000年の秋ですが、その頃と比べても大きな違いです。上司が外国人だ、社内会議が英語だ、という状況ばかりでなく、我々の日常でも、取引先がインド系のIT企業で、インド英語を理解しなければならない方がいたかと思えば、隣のデスクで働く中国の方と、英語と漢字を紙に書くという方法を組み合わせてコミュニケーションをとっている方がいるなど、様々な状況でごく自然に英語を交えて、時には英語と他言語を交えてコミュニケーションされている方々が増えています。来日された方々も、進んで日本語を覚えようとしてくださっている方々が増えてきています。イメージや強迫観念が先行していた頃に比べて、英語との付き合い方がより現実的になってきたのではないでしょうか。少し前には発音を気にして英語を話すのをためらっていた人も、今では日本語のような英語の発音でも、きちんと意図が通じればよい、と時代の空気も変わってきました。この「時代の空気」を常に取り入れて、今後もよりよい番組を模索していきたいです。それが視聴者の方々に共感を持って見てもらうことにつながります。常に、時代とともに走り、さらに前進していきたいですね。そして、ひとりでも多くの方々に、異文化コミュニケーションを楽しみ、コミュケーションそのものを楽しんでもらえるような精神を共有できる番組でありたいと思っています。


---ありがとうございました。

(インタビュー: 2007年3月22日 TOEFL事業部 稲吉 美和子)


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