TOEFL Mail Magazine Vol.49
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新シリーズ!あの頃の留学生
 日本でTOEFLテストを受験する人は年間8万6000人にものぼります(注1)。もちろんTOEFLテストは留学のためだけではなく、国内の大学での単位認定や各種選抜、進学、更には就職の目的にまでと、幅広い用途で使われています。しかし、やはりTOEFLテストのスコアを持って「留学する」人は数多く、米国へだけでも年間42,000人を超えます(注2)。留学している日本人は、ほとんどの場合、経験や学位、資格を宝物に帰国していきます。これほどの数の日本人留学生。故郷・日本に戻ってきた時に彼らはどのように留学経験を還元し、日本社会に吸収されていくのでしょう。このコーナーでは、米国やカナダ、オーストラリアなどに留学した日本人学生の、「その後」を追います。あなたの周りのあの人も、その人も、もしかしたら留学経験者かもしれません。「あの頃の留学生」は今、日本でどのような活躍を遂げているのでしょうか。

注1: 'TOEFL Test and Score Data Summary' 2004-05 Edition; ETSより 
注2: 2004〜2005年度の1年間の場合
(日米教育委員会調べ)


 シリーズ第1回目の今回は、銀行員、高校教員を経た後にアメリカへ渡って修士課程を修了し、帰国後の現在は「英語教授法」の専攻を活かして再び教壇に立っていらっしゃる渡辺道信さんにお話を伺いました。

第1回インタビュー 渡辺道信さん
渡辺道信さん 渡辺道信(わたなべ・みちのぶ) 

一橋大学卒業後都市銀行に就職するが、教育を通して世界と関わろうと高校の英語科教諭に転職。その後カリフォルニア州立大学ロングビーチ校で言語学修士課程(英語教授法専攻)を終えて、現在桐蔭学園中等教育学校教諭。 

留学のきっかけ
---TOEFLテストの受験者だったのは何年前ですか。また受験した時の年齢や背景について教えて下さい。
最初の受験は97年。更に1年半前にも受験しています。97年に受験した時は高校の教員で、アメリカの大学院に留学するためでした。
---留学しようと思った理由は何ですか。
英語の教員だったので、自分の英語の力を高めたいという気持ちが強かったです。専門的な知識を学びたいということもありましたが、英語力を高めるには日本で勉強するよりも英語が話されている国に行って住む方が効果的だと思い、当時勤務していた高校を退職して留学しました。
---かなり勇気が要りませんでしたか。せっかくの仕事を辞めてしまうことに不安はありませんでしたか。
初めて退職する人はそうかもしれませんね。私の場合はその前に銀行に勤めて退職した経験があり、その時のハードルは高かったです。この先どうなるのかな、と。でも、辞めても何とかなってきています。自分を信じて努力を続けていれば道は開けていくものです。無意味な退職ではなく、大学院に進学して学位を取って帰ってくるので、プラスの成長があるから大丈夫だと信じていました。
---不安よりも、まず「やりたい」という気持ちが大きく、自信のもとに旅立ったということですね。
渡辺道信さんインタビューそうです。30代前半のことでしたが、そんなことができるのは年齢的にももう最後かなと思いました。仕事を辞めて留学ができるのはその年齢が最後だと。
---渡辺さんは英語の教員になる前に銀行員を経験されているとのことでしたが、その時から既に「アメリカ」や「英語」を意識していたのですか。
学生時代から海外に対してはとても興味がありました。就職した銀行も、海外に一番支店が多いところを選びました。将来的には海外と関わって仕事がしたいと思っていたのです。海外で生活するのは修士号を取るためのアメリカ留学が初めてでした。旅行は数多く経験していたので海外に「行く」ことには抵抗はありませんでしたが、「住む」となると大分違いますよね。海外に「行く」際の壁は低かったと思いますが、「生活」となると全く違うので準備は結構大変でした。
---自分の中の「英語を好き」とか「英語」という軸は、学生時代、銀行員時代、教員時代、そして今、とずっとあったものなのですね。
英語は中学の頃から好きでした。自分との相性ってあると思いますが、英語を通してコミュニケーションを図ったり、英語を通して情報を得たりするのは楽しいと思います。

英語を幅広く勉強することが大事
---TOEFLテストに向けての勉強はどのくらいしましたか。
初めてTOEFLテストを受験した頃は、英会話スクールに通ったり英字新聞や英語の本を読んだりして、試験のための勉強というよりも、幅広く英語を学習していました。とは言っても、TOEFLテストのサンプル問題や問題集は一通りやりました。それはパターンに慣れるという効果がありました。
---TOEFLテストの受験を振り返ってみてどう思いますか。
私の場合は、英語の教員だったので、読解や文法には特に問題を感じませんでした。英語を読むことには慣れていたので、リスニングに焦点を絞り、パターン練習をしていくような感じでの受験だったと記憶しています。

夢や目標を持つことの大切さ
---仕事を持ちながら夢に向かって努力を続けるということは大変ではありませんでしたか。
渡辺道信さんインタビュー大変ですが、でも夢にむかう時には、自分の中に「励み」があります。それは、忙しくても自分を動機付ける大きな要因になります。大変と言えばもちろん大変で、仕事と勉強を両立させるのは容易なことではありません。でも心の中は興奮していて燃えている。夢を持つことは、日々同じことをしていても、人生に対する姿勢を変えることになります。

実際のアメリカ生活あれこれ
---実際に留学生活が始まった後はどうでしたか。
アメリカの映画を見ていると、大学の授業風景が出てくることがありますよね。そういう場所に実際に自分がいるんだ、と思うととても嬉しかったのを覚えています。今振り返ってみると、日本の生活とはかなり違うので、貴重な経験になりました。学校も、生活も。アメリカの社会や文化の中に入り込むということですから。
---学校で一番苦労したことは何ですか。
毎日のリーディングも大変でしたが、プロジェクト(課題)への取り組みが一番大変でした。まずサブジェクト(調査対象者)を探し、その人の家に行き、インタビューをしてデータを取り、それをまとめる…というような流れなのですが、とにかく協力してくれるサブジェクトを探すところから一苦労でした。しかし、今思えば、その時は勉強に専念できたのです。仕事をしないで授業に出て勉強だけをしていればよいというのは、幸せなことでした。
---留学生であるが故の苦労はなんでしたか。
渡辺道信さんインタビューアメリカ人学生の何倍も時間をかけなければならないというのが留学生のきついところです。でも、多くの留学生は勉強に専念できる環境にあります。これに対してアメリカ人の院生は、仕事をしながら学んでいる人が多く、時間が限られています。つまり、留学生の場合は、時間がかかるけど時間はある。アメリカ人学生の場合は、留学生より速く読んだり書いたりできるけれど勉強にかけられる時間が限られている。そういう意味で、お互いにハンディキャップを持っているんじゃないかな、と私は感じていました。
---学校以外での生活について教えてください。
南カリフォルニアにはアジア系の人が多く、アメリカ人以外にも幅広く友達ができました。生活面では、日本とは違うことが多かったですね。スーパーでの買い物、電話の契約、アパートの契約…。電話の契約一つにしても、日本とは違うんですよ。

---トラブルや、困ったことはありませんでしたか。

大きなトラブルはありませんでしたが、日本では考えられないことが時々ありましたね。例えば、お役所の人が自分の仕事のことをよく分かってない、というような。でも日本と違って、窓口が一つではないので、一つのオフィスでダメだったら別のオフィスに行けばいい、という面があります。例えばソーシャル・セキュリティー・ナンバー(社会保障番号)の取得にしても、最初に行ったオフィスの人が分かっていなくて理不尽なことを言ってきても、別のオフィスに行けば問題なく取れたりしました。DMV(The Department of Motor Vehicles:陸運局)で車の免許を取る時も、こっちのDMVが厳しかったらあっちのDMVに行けばいい、というように他の選択肢が出てきます。そういう意味では、行き詰まることはありませんでした。ダメといわれても他の道があるのです。単位の取得に関しても、あくまでもケースバイケースですが、クラスメートの留学生が、事情があってコアになる授業の一つが取れなかった時、他の授業に変えてもらったというようなことがありました。

アメリカでの友達
---留学時代の友人関係について教えてください。
学友との間には自由で対等な人間関係が築けます。何年も離れていても、メールをしたり再会したりすると、昔と同じように話が盛り上がったりします。留学時代の友達の中から生涯の友達が出てくることもあると思います。地域差もあるでしょうが、南カリフォルニアにはアジア系の学生が多く、実際クラスによってはアジア系のほうが白人より多いということもありました。こうした環境の中で、アメリカ人だけでなく、韓国や台湾から来ている留学生とも交友関係を築けたことは素晴らしい思い出です。
---台湾や韓国の友達とは今でも連絡をとっていますか。
はい。台湾では修士号を取って帰るとすぐに大学で教えられるのかな。クラスメートの何人かは大学で教鞭をとっています。

留学中は配偶者に対するケア
---渡辺さんの場合、留学は奥さんと一緒に行かれたそうですが、配偶者と共に行くということに関してはどう思われますか。
配偶者も留学するのでない場合は、配偶者は目標があって行くわけではないので、苦労する部分が多いのではないかと思います。
---奥さんは、カルチャーショックなどで苦労されたのでしょうか。
渡辺道信さんインタビュー カルチャーショックよりも、喧嘩をしたりすると行き場がなかったと思うので、そんな時が一番辛かったんじゃないかなと思います。すぐに話ができる親や親友が身近にいないというのはきついことだと思います。
---配偶者と共に行く場合は、配偶者のケアも大切だということですね。
そう思います。

社会人を経験してからの留学は効果的
---留学は、精神的なダメージやカルチャーショックといったネガティブなことより、得るものの方が断然多いようですね。
そうです。特に社会人を経験してから行く人にとっては尚更そう感じられるのではないでしょうか。まず「仕事を離れて勉強ができる」という喜びがあります。仕事をしていると、プレッシャーやストレスがありますよね。それから解放されて勉強に専念できるというのは、とても恵まれた状況です。一方社会人を経験しないで学生のまま留学すると、「日本の大学にいるよりもきつい」と感じるかもしれませんね。社会人を経験すると勉強だけから来るストレスは大したものではないと思えるし、学べる喜びのほうが大きいと感じると思います。特に私のように英語の教員をやってアメリカに行くと、「今ここで学んでいることが、こういう風に将来の仕事に生かせるな」というのが見えてきます。勉強している間にもモチベーションが高まるのです。仕事を経験せずに留学すると、自分の将来の仕事との結びつきが見えにくい面があるかもしれませんね。そういう意味で、一度社会人を経験してから留学するのはよいことだと思います。私のように英語の教員だけでなくとも、ビジネスの場合にしても同じことが言えると思います。いったん仕事をした人が例えばMBAを取りに行くと、「これはこういう風に生かせるな」というつながりがはっきり見えてくると思います。

帰国後の再適応
---卒業が目前に迫った時、日本への再適応に対して心配や不安はありませんでしたか。
帰国してからすぐに仕事が見つかるかな、という心配はありました。それと、些細なことですが、「きちんと敬語が使えるかな」という心配もありました。なにしろ2年間日本に帰っていなかったのですから。
---英語で敬語は意識していましたか。教授にアプローチする時など多くあったと思いますが・・・。
英語にも丁寧な表現はあります。今から振り返ってみると随分失礼なことを言ったりしたりしていたのではないかと思います。
---日本に帰って就職活動はすぐに始めましたか。
はい。帰国後は住居と仕事の両方を探さなくてはならなかったのですが、仕事がないとアパートも借りられないので、落ち着くまで一苦労でした。
---せっかく留学して学位を取得して帰って来ても、最初はなかなか思うように生活が軌道に乗らない。焦りはありませんでしたか?
焦りというよりも、荒涼とした心境になっていたのを覚えています。でも、振り返ってみるとそれは一時的なことで、これから留学する人たちが帰国した際に同じことが起こっても、時間が解決してくれる問題だと思います。

仕事に直結した専攻を
---人生の中で留学経験はどのような重みを占めていますか。
留学から得られる知識と経験からくる自信が生まれてきて、留学は自分にとって大きなプラスになりました。
---良い投資をして、その結果がちゃんとついてきているのですね。
私の場合は、留学先での専攻が言語学と英語教授法という、英語教員の仕事に直結する内容でした。このように仕事と結びついたものを専攻することが大事だと思います。漠然とした憧れではなく、留学後の仕事を意識して勉強することは、留学を真に活かすことにつながります。逆にそうでないと、留学先で専攻を度々変えたり、行き詰ったりということが起きやすいのではないでしょうか。

留学経験を糧に
---今後はどのように留学経験を活かそうとお考えですか。
今は毎日、中等教育学校の生徒に英語を教えながら、同時に教育学と英語教授法の研究を続けています。留学して学んだことは、授業と研究の両面に活かされています。今後は、留学を希望する生徒が出てくれば、自分の経験からアドバイスをしてあげたいと思います。自分の場合もそうでしたが、留学しようと思ってもなかなかアドバイスをしてくれる人が身近にいない、という状況が結構あるのではないでしょうか。

これから海外を目指す皆さんへのメッセージ
---留学を考えている人、海外に行きたいと思っている人にメッセージをお願いします。
もし迷っているのなら、思い切って行った方がいいと思います。留学する前は行ってからどうなるのかわからない部分が色々あって、不安が多いのは当然です。でも、自分の経験に照らしてみて、思い切って飛び込んでみる方がよいと思います。留学先で得られる経験は、何ものにも替え難い生涯の宝になると思います。ただし、飛び込んでみる方がよいとはいっても、しっかりとした目標を持って行くことが大切です。そうすると最後までうまくやれると思います。
---TOEFLテストの受験に関してのアドバイスはありますか。
渡辺道信さんインタビューTOEFLテストも、他の試験と同様に、パターンがあります。そのパターンに慣れる練習をすることが必要です。また、英文エッセイの書き方に関する本を読んで、英語で文章を書く練習をしてください。これは、TOEFLテストのライティングに活かせるだけでなく、留学先でたくさん提出することになるペーパー(論文)を書くときにも必ず役に立ちます。また、TOEFLテスト受験の目的は留学ですから、試験のための勉強に限らず、幅広く英語を学習することも大切で、英字新聞を読んだり、英語のニュースを見たり聞いたりするとよいと思います。

---ありがとうございました。


(インタビュー: 2006年6月10日 CIEE TOEFL事業部 遠藤) 

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