TOEFL Mail Magazine Vol.48
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e-Language in Action〜次世代メディアとプロジェクト発信型英語教育〜
第12回
慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスとメルボルン大学のLanguage & Culture Exchange (4)

慶應義塾大学環境情報学部教授  兼 同大学大学院 政策・メディア研究科委員 鈴木 佑治先生
鈴木 佑治
慶應義塾大学環境情報学部教授  兼 同大学大学院 政策・メディア研究科委員

長谷部葉子 慶應義塾大学環境情報学部訪問講師 鈴木佑治研究室


本連載の2回目3回目4回目に「慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスとメルボルン大学のLanguage & Culture Exchange」と題して長谷部葉子さん、メルボルン大学の関口幸代さんに活動報告をしていただきました。今回はその(4)として続きを紹介していただきます。長谷部さんのSFCの英語クラスと関口さんのメルボルン大学の日本語クラスでは、テーマごとにグループになり、英語と日本語を駆使してテーマに沿った3Dのコミュニケーション空間を作りました。それぞれのテーマのリサーチが深くなるにつれ、より創造的な空間が生まれます。彼らのウエブ・ページには協働の足跡を見ることが出来ます。こうしたプロジェクト発信型ジョイント授業でのコミュニケーション活動は、講義や自動学習ソフトを提供するだけの受信型授業と比べ、質的にも量的にも比較することはできません。

長谷部葉子さんの報告

長谷部葉子さん 今回は久しぶりにメルボルン大学の関口幸代先生の日本語クラスと慶應義塾大学SFCの長谷部担当の英語クラスの交流授業について報告します。前回は2004年4月〜2005年7月までの1年半、3学期間の交流授業の経過報告でした。今回は2005年9月〜2006年1月までの秋学期の交流授業の報告です。前回と同様、メルボルン大学とSFCで、教育・お見合い・映画・音楽・Korean Wave・剣道等の興味別グループに分かれてのグループワークを通しての交流授業でした。今回はSFCの長谷部が概要を報告し、来月号でメルボルン大学の関口先生に先生独自の切り口から今回の交流を振り返った報告をしていただきます。

結論からいうと、今回の交流授業は今までとくらべ学生間のコミュニケーションがより深まった成功例といえるでしょう。その成功の要因を以下のようにまとめてみました。

1)
全学期13回の授業のうち、12回で交流授業ができた。交流回数が増え、当然、学生間の親密度も増した。
2)
明確な目標設定をすることにより協働意識が生まれ作業も進んだ。上記で述べたテーマごとにグループに分かれて3Dを使い、それぞれが独自のコミュニティー空間〔部屋〕を創った。最優秀の制作を選出しベストルーム賞を与えた。
3)
授業内ではビデオ会議・チャット、授業外ではメッセンジャー等を導入し、交流ツールを増やして日常的で自由な交流ができる環境を構築した。
4)
双方の学期が時期的に違うのでそのギャップを補うために交流授業を2部構成にした。メルボルンの学生は、前半に正規授業の履修者が参加し、後半にボランティアの学生が参加した。内容も、前半がテーマに関する話し合いを中心に、後半はその内容を深めつつ実際にコミュニティー空間作りに専念し、前半後半の内容を明確にして分業化することにより協働して目標を達成できた。
5)
3D空間でチャットができるコミュニケーション部屋を作った。各部屋作りには、学生以外にFacilitatorという架空の担当者が存在し、このキャラクターを通して学生は頻繁にコミュニケーションをはかりお互いの合意形成を達成することが出来た。

交流授業の参考資料
交流授業の参考資料
交流授業の参考資料

今回の交流授業が両校の参加者に達成感をもたらしたもう一つの特筆すべき要因は、メルボルン大学とSFCの作業分担の割合がどちらにも偏ることなく均等であったことです。これにより仲間意識が高揚し、その結果、交流授業終了後の2月には関口先生をはじめメルボルン大学の学生がSFCを、3月にはSFCの学生がメルボルン大学の学生を訪れ、face-to-faceでお互いの大学生活を体験し交流を密にしました。オンラインの交流に始まり、最後には、お互いに訪問しあうコミュニケーションの実の「場」の創生に成功しました。
  交流授業における英語と日本語の配分は、メルボルン大学の学生が日本語を学習中であり、SFCの学生は英語を学習中であることから、全てチーム内の合意で行われました。かくして、それぞれの状況で自由に言語を選択してコミュニケーションができる空間ができ上がりました。英語と日本語との配分のバランスは自然にとれて、どちらの言語にも偏ることがない交流を体験できたようです。作業目標を明確に設定することにより協働作業の態勢が生まれ、その流れの中で的確な言語選択が行われることを実感したようです。
SFCの授業の様子  オンラインによる遠隔授業にとどまらず、face-to-faceの交流が双方の学生内部から自発的に生じ一生持続できれば、多くの時間と労力をかけて遠隔の交流授業を実践する意義を見出すことが出来ます。お互いの言語と文化の違いを実体験し理解することが最終目的ですが、その為にはプロジェクトの内容が核になることは言うまでもありません。
  こうした交流授業は制度的にも技術的にも不安定で、時間のみならず精神的かつ身体的に相当の労力を費やします。この春学期も含めて2年間継続してまいりましたが、毎回履修者は異なるものの、新たな展開が起きモチベーションも高まります。担当者である私たちが逆に励まされるのです。この連載の読者の皆様から、クラス単位、学校単位で、意欲的に取り組もう、という声が上がることを心待ちにしています。


オンラインを使うプロジェクト発信型のジョイント授業の最終目標は、face-to-faceの交流につなげ、授業という枠を離れて生涯続く交流の架け橋をすることです。長谷部さんと関口さんのジョイント授業は2年目にしてその目標に一歩近づけることに成功しました。学生だけではなく担当している教員同士の間に共同研究が芽生える筈です。長谷部さんと関口さんの間にもジョイント研究プロジェクトが生まれ、つい最近ある学会でその成果を発表しましたが、これを機に長く続くものと期待しております。それに関連して一つ要望を述べます。コミュニケーションは言語だけではなく非言語の表現形態においても行われます。日本語と英語の配分についての言及がありますが、それ以前に言語と非言語表現形態の配分もあります。マルチ・メディア機器を駆使するオンライン授業において学生諸君がどのような表現形態でメッセージを伝達するのか、そのあたりの学生の創造力にも注視しリサーチしていただけると、次世代を見据えたコミュニケーション論の見地より意義ある研究成果が生まれると思います。次回はメルボルン大学より関口さんに報告をしていただきましょう。本連載につきましてのご意見、ご感想はこちらまでお寄せ下さい。

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