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言葉の玉手箱

英語に限らず外国語を学習していると、言葉の世界の奥深さに気付かされます。
古来の日本人は言霊(ことだま)と評して、言葉には霊が宿り、見えざる力を働かすのだと考えました。使い慣れた短いフレーズの中にもコミュニケーションを左右するほどの力があるのです。
毎回ご好評をいただいているこのコーナーでは、ETS公認コンサルタントの川手 ミヤジェイェフスカ 恩先生が、異文化間コミュニケーションにおける言葉の使い方の重要性に焦点をあて、興味深く解説してくださいます。言葉の世界の面白さをお楽しみください。

 
Dr.川手 ミヤジェイェフスカ 恩(めぐみ)
テンプル大学ジャパン 大学附属英語研修課程助教授
 
テンプル大学ジャパン 大学附属英語研修課程助教授 Dr.川手ミヤジェイェフスカ 恩(めぐみ)
(Megumi Kawate-Mierzejewska, Ed.D, Temple University)
2000年より、ETS公認コンサルタントを務める。
専門分野は、中間言語語用論(Interlanguage Pragmatics)。
第16回:"I'm not sure..."が誤解されるとき
 
 回は日本人英語話者によってよく使われる"I'm not sure"という表現に焦点をあててみよう。
この表現は、遠まわしに反対意見を表したり、お断りをしたり、あいまいな返答をしたりするときに使われるものである。どういうわけか、どうやら日本人はあいまいな返答として『私に聞かれても、ちょっと・・・』とか『どっちでもいいんだけど、どうかなあ・・・』というような感覚で使っていることが多いようだが、英語の母語話者の方は遠まわしに、お断りをする時に使うことも多いようで、ここに誤解が生じることがある。

  る日本人女性が英語の母語話者から、結婚を申し込まれて、素直に『はい』といえず思わず『そんなこと急に聞かれてもなんて答えていいか・・・ちょっと・・・』というくらいのつもりで"I'm not sure"といったら、お断りと解釈されて結局、結婚には至らなかったという話もある。この女性は"I'm not sure"が、『あなたと結婚できるかどうかわからないわ』という意味に解釈されるなどとは、思ってもみなかったようだ。
 また、別のケースでは、『あした、映画みにいこうか』と誘われて、『あした何するかまだ決まってないし、ちょっとわからないな、明日になってみないと・・・行けるかもしれないし・・・』というくらいの気持ちで"I'm not sure"といったのに、やはり、お断りと解釈されて"Maybe next time!"といわれて、初めて『ああ、"I'm not sure"って、お断りと解釈されることもあるんだ』と気づいたという話もある。
  さらに、何か意見を求められているときに"I'm not sure"を使ったら、反対しているんだと解釈されて『そういうんなら、やめておこうか』となったケースもあるようだ。具体的には、『車買おうと思うんだけどどう思う?』ときかれて、『ええ?私に相談されたってわからないわよ・・・』というくらいのつもりで"I'm not sure"といったら、相談したほうは『やめておいた方がいいんじゃない』というふうに解釈したらしく『じゃあ、やめておこうか』となったわけである。やはり、このケースでも、『やめておこうか』といわれて初めてどう解釈されたかという事に気づいたという。

 上のように、"I'm not sure"は、とかく誤解を招きやすい表現なので、この表現を使うときは、相手にどのように解釈される可能性があるのかということも考えて意識的に使ったほうがいいみたいだ。また、特に異文化コミュニケーションでこの表現を使うときは、誤解を招かないようにするためにも他の表現と一緒に"Right now, I'm not sure... but I'll call you tomorrow"などというように、話者の意図をはっきりとさせる必要があるのかもしれない。

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