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達セミに学ぶ 英語学習のヒント

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英語教師による英語教師のための情報シェアの場「達人セミナー」通称「達セミ」をご存知ですか。毎週のように自発的かつボランティアで全国各地にて開催され、それぞれの授業方法を公開しシェアしています。基本的には中学・高校の教師の方々が中心ですが、その授業には英語を楽しく学ぶヒントがたくさん隠されています。その中から毎号1名の先生にレポートしていただきます。

今回のヒントはこれ: 「部品で覚える英単語」

内田 浩樹先生

国際教養大学
内田 浩樹先生

①単語は英語の最小の単位か

単語は、言葉の中で意味を持つ最小の単位であるというのは、一般的な学習者の考え方です。独立して存在できるという点ではその通りですが、単語はさらにいくつかの部分に分かれていて、それぞれが意味を持っていることが多いのです。例えばexportという単語は次のように分解することができます。

ex【外へ・超えて】 + port 【港】→港の外へ出す = ~を輸出する

ex-は、それ自体は単語ではありませんが、その他の部品に付属して様々な単語を作ることができます。そうしてできた単語は、どこかに【外へ・超えて】という意味を含んでいます。ex-で始まるその他の語を見てみましょう。

  • excess 超過、余分の <必要量を超えている
  • excel ずば抜けている、勝っている <他を超えている
  • expand ~を広げる、膨らむ <外へ向かう
  • explain ~を説明する <外部の人に平たく話す

②単語を構成する3つの部品

お気づきになったと思うのですが、どうやら単語は、意味の中心をなす部品と、それに付属した部品で構成されているようです。explainという単語で見ますと、意味の中心をなす部分は、plain(平らな・平易な)で、それにex-という部品が付属して構成されているということです。意味の中心をなす部品のことを語基(word base)と言います。ex-は、それに追加の情報(外へ・超えて)を与える役割をしていますが、こういった部品を接辞(affix)と呼びます。実は、接辞には、ex-のように語基の前に付くものと、語基の後に付くものがあります。例えば、explanationという単語は、explainに、さらに-ionという接辞が付属してできています。station, decision, organizationなどの単語にも同様に見られる接辞ですが、その働きは【名詞をつくる】というものです。語基の前に付く接辞を接頭辞(prefix)と呼び、語基の後に付く接辞を接尾辞(suffix)と呼びます。英単語には、語基だけで成立しているものもありますが、多くは接頭辞や接尾辞が付属してできています。

接頭辞 語基 接尾辞
- plain - plain
ex- - explain
ex- -(t)ion explanation

③語基は、単語そのものとは限らない

explainの語基であるplainはそれ自体が単語ですので、目に付きやすいですし、意味も結びつけやすいのですが、語基の中には単語として独立して存在できないものがあります。様々な語で意味の中心をなす働きをしていることが多いので、単語を日頃から注意深く見て、独立した単語ではないけれどもよく見られる語基に気がつくようになりたいものです。

接頭辞 語基 接尾辞
- fess
(話す)
- 存在しない語
con-
(すっかり)
- confess
(告白する<すっかり話す)
pro-
(前)
- profess
(明言する<人前で言う)
-ion
(名詞)
profession
(職業<人前で説明する能力)
-or
(~する人)
professor
(教授<学生の前で話す人)

fess自体は単語ではないですが、このように言われてみればいくつもの単語に見られる語基です。そして共通した意味を探っていくと、「話す・言う」というアイデアに行き着きます。英単語を苦労なく覚えていっている人たちは、語基や接辞の意味を無意識に探って、その過程で蓄積された部品の意味を組み合わせて新しい単語を覚えていっていることが多いようです。そうは言いましても、どれが単語の語基になっているか簡単には見つけられないかもしれません。そういう場合は、辞書をよく見てみましょう。多くの辞書では、掲載語の説明の最初で、単語を部品に分解して解説しています。忙しいみなさんは、辞書をじっくり見る余裕がないでしょうから今まで見落としていた情報かもしれません。

④接尾辞が重なってできる語

接頭辞は通常1つだけ付属しますが、接尾辞は複数重なることがあります。こうして単語はどんどんと長くなって新しい語を生み出していきますが、それらはすべて同じ語基に意味が集約されていることが重要なポイントです。

接頭辞 語基 接尾辞1 接尾辞2 接尾辞3 接尾辞4
- nat
(生まれる)
- - - - 存在しない語
- -ion
(名詞)
- - - nation
(国<生まれた場所)
- -al
(形容詞)
- - national
(国の)
- - - international
(国際的な)
- -ize
(動詞)
- internationalize
(国際化する)
- - -(t)ion
(名詞)
internationalization
(国際化)

⑤どのように学習に活かせるか

理屈はわかっても、語基や接辞の知識をどう蓄え、どう語彙習得に活かしていくかが難しいところです。接辞はどのくらい知っていれば良いのか、必要な語基はどれほどたくさんあるのかといったことも疑問になるでしょう。大学入試で出現頻度が高い3800語(これらの語はTOEFLテスト, TOEICテストにも必須)について接辞を調べてみましたところ、接頭辞は20個、接尾辞は40個でほぼすべての単語がカバーされていることがわかりました。また語基もおよそ280個程度でほとんどの語を説明できました。それらを1冊にまとめたのが拙著の「つむぐ英単語」です。Vol.111で安木真一先生が、おっしゃっているように、単語は文の中で学ぶのが望ましいです。本書では、同じ語基を持つ語が一カ所にまとめられていますから、辞書の代わりに用い、関連した語を一度に学習・復習するという形式で活用されると効果的でしょう。

語根、word stem, word rootと呼ぶこともある。

著書:
つむぐ英単語(河合出版) 内田浩樹
英単語メモリー(Jリサーチ出版) 内田浩樹

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