国際教育交換協議会(CIEE)日本代表部

CIEE

社会人になって振返る国際ボランティアプロジェクト
 

海外ボランティア体験は将来どう活きるのか ― パンフレットやウェブサイトに掲載されている帰国直後の体験談を語ってくれた人たちのその後をご紹介します。今回は2006年夏にフランスのアランクーという町で国際ボランティアプロジェクトに参加した五十嵐 順一さんにインタビュー。五十嵐さんは学生時代にも説明会やオリエンテーションにて体験談をお話いただいたことがあります。参加してから3年半が経ち、社会人となった今振返るあの時の体験。当時と現在とで思うことの違い、仕事の中でのコミュニケーションと行動において大切なことは何か― 前編では参加したきっかけ〜帰国後までを中心に、後編では帰国後始めた就職活動〜現在のお仕事に関連した視点のお話を中心にお届けします。

 
前編 〜得たものは自信と仲間〜 >>後編を読む

 

―まず、参加しようと思ったきっかけからおしえてください。
大学の途上国開発についての授業でストリートチルドレンの話を聞き、自分も何か貢献したいと思っていました。しかし、国際貢献と言っても先進国の押し付けになってしまう場合があります。根本的に大事なのは、まずはその国の人を理解することだと考えていました。まずその「理解する力」をつけようと思っていたところ、大学内で国際ボランティアプロジェクトの説明会があることを偶然知り、説明会での話を聞いて参加をすぐに決めました。


―参加したボランティアの内容はどんなものでしたか?
フランスのアランクー(Arancou)という町で、滞在していた住居の荒れ果てた庭を耕して綺麗にし、ビーチバレーコートを作ったり、住人の方のために竹を利用して日よけを作ったりする作業をしました。あと、共有の洗濯場を整備したりもしました。アランクーはトウモロコシ畑がたくさんあり、家と家の距離も結構離れているような田舎の町です。

 

(アランクー: フランス南西部、スペインとの国境近くの小さな町。ボルドーから南へ約190km)

アランクー写真 ワーク ワーク写真

アランクーの風景

 

ワーク中の様子

―ワーク以外にはどのように過ごしていましたか?
休日は近くの川へみんなで行ったり、2人ずつに分かれてヒッチハイクをして出かけたりしました。ボランティアの期間は3週間でしたが、参加する前にパリとボルドーに1泊ずつ、参加後もボルドーに3泊ほどしました。


―参加メンバーの国籍は?
全部で15人のメンバーで、7人がフランス人、あとはロシア人2人、その他ドイツ、スイス、チェコなどヨーロッパの国から1人ずつ参加していて、日本人、というかアジア人は私だけでした。

 

―アジア人が1人だけという中、コミュニケーションはどのようにとっていましたか?
私以外のメンバーは全員フランス語を話せました。フランス人が半数を占め、フランス人が英語が苦手だったこともあり、自分が英語で話しかける場合以外は会話のほとんどがフランス語でした。それを誰かに英語に訳してもらっていました。どうしても他メンバーの通訳を介しての会話になってしまい、思うようにコミュニケーションが取れないことにもどかしさを感じていました。


―フランス語は事前に勉強していましたか?
いえ、全くしていませんでした。朝、仕事の分担をする時にもみんなフランス語で話しているということが1週間続きました。だから会話にもなかなか入っていけず苦労しました。グループでは1週間ごとにレビュー(振返り)をしていたので、その時に「英語で話して欲しい」ということも言ったりしました。


―その後、状況は変わりましたか?
以前よりは英語で話してくれるようになりましたが、もちろん私も簡単なフランス語の単語は覚えるようにしました。発音を何回も直されたのを鮮明に覚えていますが、それも楽しみながらやっていました。 それでも2週間くらい経った頃は一番落ち込んでしまいました。みんなと仲良くなって色々な話をして、、、という理想とかけ離れていて、「参加して意味あったのかな・・・」と思い始めていました。そんな時、フランス人のリーダーが“Junichi,Enjoy !!”と声をかけてくれました。何気ない一言でしたが、印象に残っています。彼を含めメンバーの笑顔には大いに助けられ、私も精神的にきつい中でも笑顔を心がけ、前向きになることができました。あと一番の転機になったのは、食事当番の時に作った塩焼きそばをみんなが「おいしい」「おいしい」と言っておかわりまでして食べてくれたことです。それまでコミュニケーションが上手くいっていなかったので、本当に感動しました。

 

現地生活写真 現地生活写真 現地生活写真

現地での生活の様子 (食事、フリータイム)

 

―プロジェクトが終わった時はどんな気持ちでしたか?
最終日は感慨深かったです。泣きそうになりました、いや、ちょっと泣いたかもしれません(笑)。最終日にフランス人と「さみしいね」と言っていたのですが、そんな話ができるようになっただけでも成長したと思います。 「英語を話せればなんとかなる」という固定観念を持っていたので、それが崩れたことは結果的には良かったと思いました。英語を話す人は世界の一部の人で、料理や共同作業など英語以外のコミュニケーション手段によって心が通じ合うこともわかりました。


―参加前に考えていた目的は果たせましたか?
「相手を理解する力」がついたかというと、力がついたとまでは言えないですが、それに向けて努力した3週間は貴重な経験でした。言葉の通じない相手だからこそ、より強く「理解しよう」という気持ちが生まれたと思います。


―プロジェクト後も当時の参加メンバーとのつながりはありますか?
メンバーの中でチェコ人の参加者は私と同じでフランス語があまり得意じゃなかったこともあり、2人でよく話していたので、帰国後もたまに英語でメールをしています。

 

メンバー写真 メンバー写真

仲間たちとの別れの前のひと時

 

 

―帰国後は、「帰国報告会」にも参加されましたよね?
はい。そこで出会った仲間もいて、彼らとはこれからも一生付き合っていくと思います。そしてやはりCIEEの方々とこうして親交を持てていることも、大変嬉しく思っています。


―参加して得たものはなんでしょう?
前後の旅行も含めて1ヶ月間サバイバルした(生き残った)ということで、自分に対して自信が持てるようになりました。帰国報告会で出会い、同じ経験を語り合える仲間も一生の財産です。楽しいだけでなく、挫折に近いようなことも経験し、そのことをたまにふと思い出したりもしますが、それも貴重な経験でした。

出会った仲間たち
  帰国報告会で出会った仲間たちと
五十嵐さん

―「ボランティア」という方法で海外を体験することにはどのような特徴を感じましたか?
突然集められたメンバーで共同生活をするので、仕事や生活の面でも自分たちで考えて決めていくところが語学留学などとは違うと思います。

 

参加する前は大学3年生だったのでインターンも考えました。就職活動のサイトでは夏ごろから「インターン」という文字が踊っていましたし。インターンを経験して志望する企業のことをよく知ることも大切とは思いましたが、結局は「自分が将来何をしたいのか」を考えて決めました。ボランティア経験後は、「海外の仕事」という大きなテーマではあったものの、自分の中で芯が出来上がっていました。

 後編へつづく  

国際ボランティアプロジェクトに参加して進路のテーマが見つかった五十嵐さん。帰国後始まった就職活動ではそのテーマから希望の仕事に就くことができたのでしょうか? 現在の仕事には、国際ボランティア経験との「縁」があるようです。 >>後編を読む

 

<プロジェクト中の使用言語について>

ボランティアグループ内の共通語は英語になりますが、ヨーロッパで話者の多いフランス語やスペイン語で話す参加者も毎年いるようです。
そんな場合は五十嵐さんのように自分から働きかけて、状況の改善を図ることが大切です!英語以外にも開催国の挨拶や簡単な言葉を覚えていくとよいでしょう。