飯田葉月さん(ミスユニバースジャパン ファイナリスト)

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大好きな東南アジアで日本語教師の道を歩む
元ミス・ユニバース・ジャパン候補が描く未来

 

Special Interview with
飯田葉月
(2016ミス・ユニバース・ジャパン ファイナリスト)


2016年のミス・ユニバース・ジャパン大分大会で優勝したのは、飯田葉月さん。国際経営学を学ぶ学生です。通う大学は、世界約90の国と地域から学生が集まり、全学生の50%を留学生が占めます。自身でも東南アジア諸国を中心に10回以上の海外渡航を経験。国際的な経験を重ねて見つけた夢と課題へ向け、次に選んだ道は日本語教師でした。短期のボランティア経験を経て、日本語教師として再びインドネシアへと旅立つ前の飯田さんに、アジアの魅力や日本語教師を目指す理由を伺いました。

ダイバーシティを求めて

―葉っぱのように伸び伸びと 月のように美しく― 八月生まれの飯田葉月さんに母が名前に込めた願いは、意外な場所で叶うことになりました。英文学科だった母親の視野を受け継ぎ海外への興味を抱くも、特に魅かれたのは英語圏ではなく東南アジア。

「高校生の時に、イギリス人と日本人のハーフや在日韓国人、台湾出身のクラスメイトがいました。その子たちと仲良くなっていくと、異なるバックグラウンドを持っている人たちと同じクラスで同じ授業を受けているということを意識し始めました。

飯田葉月さん写真

進学する大学を調べているうちにAPU(立命館アジア太平洋大学)のことを知り、さらにダイバーシティのある環境に行ってみたいと思って入学しました。APUの環境が自分に大きな影響を与えてくれたと思います。

高校生の頃は海外に行くのは親が心配して、友だちと一緒に行っていましたが、APUで知り合った海外出身の友だちに会いに行くことで、飛行機の中は一人でも現地では一人ではない環境が作れるようになり、大学生になってから一人で海外に行き始めました」

飯田葉月さんインタビュー 

これまでの渡航先は、韓国、中国、イギリス、マレーシア、シンガポール、台湾、香港、ベトナム、インドネシア、タイと多くが東南アジアの国々。

「日本に近くて、似ているようでいて日本とは文化が全く違う国が東南アジアには多くあります。暑くて、人が多くて、整備されていない雑然とした部分もあって、そういうところに私は魅力を感じます。暑い中、人ごみの中に行って『この食べ物なんだろう』とワクワクしながら食べたりする、そういう時に『楽しい!』って感じるんですよね。だから何度も東南アジアに行っています」

東南アジア料理

最初は心配していたご両親も決して「行っちゃだめ」とは言わず、きちんと調べていることを理解して渡航を見守ってくれているそうです。

「インドネシアに行く前はイスラム教の国ということでテロとの関連で心配されましたが、自分で調べた外務省の情報を見せて、シリアのような渡航を止められている国ではないということをわかってもらいました。実際、現地へ行ってみて話をすると、報道のせいで自分たちの国がとても危険な国と思われることが悔しいと言っていました。実際はキリスト教の学校とイスラム教の学校が隣同士に建っていたり、違う宗教の人たちが同じ場所でご飯を食べて笑い合ったりしている、そういう話を聞いて、無知が一番怖いことだと思いました。逆に、注意しなければどこへ行っても危ないです」

飯田葉月さん写真 

変わっていく渡航目的 

大学生となり、一人で海外へ行くだけでなく、渡航の目的も変わり始めます。一つの転機となったのは大学内で開催されたイベントでの出会い。

「学内で色々な国をテーマにしたイベントが開催されるのですが、『ベトナム・ウィーク』の時にファッションモデルをやって、その時にベトナム人のプロのデザイナーの人と仲良くなり、ベトナムのことをもっと知りたいと思いました。せっかく行くならば何か貢献できることをしたいと思ってボランティアに参加しました」

2015年の夏休みはベトナム・ホーチミンシティへ。障がいを持った子どもたちをケアする病院内の施設でボランティアとして働く経験をします。

「病院の看護師さんが、診察や治療に訪れる患者さんへの対応の他に障がいを持った子どもたちのケアもしているため、人手が足りておらず、ボランティアがいなければ成り立たない環境でした。私は、子どもたちにご飯を食べさせてあげたり、一緒に遊んだり、トイレに行く手伝いやシャワーを浴びる手伝いをしたりしました」

ベトナム写真 

英語での日常会話はできても、多くの子どもたちはベトナム語しか理解できない中、ボディランゲージを使いながら子どもたちに接する日々。自分の存在を認識してくれているのかわからないまま最終日を迎えます。

「私が使っていた塗り絵セットを、仲が良かった女の子にお別れの印に渡しました。すると喜んだすぐ後に考える様子で、両手を広げて飛行機の真似をして見せました。私は、心が痛くなりながらも、うなずきました。すると、小さな腕で私をギューっと包みました。何度も私の顔を見てはハグをしてくれました。その時私は、彼女はお別れの時を知っていて、小さな腕で何度もハグをして感謝を示してくれているのかなと感じました。 彼女の未来が明るいものでありますようにと心の底から願いました」

ベトナム写真2

“私って、何かを代表してトライしたことがないな”

ベトナムでボランティアをしたその年、飯田さんはもう一つの新たなチャレンジをします。ミス・ユニバースへのエントリーです。外見の美しさだけでなく、知性や人間性、社会貢献活動への姿勢を問われる世界的なコンテストとして有名なこの大会への参加も、学内で感じた外国人留学生たちの立ち振る舞いに刺激を受けたためと言います。

「APUに来ている留学生たちは、皆、それぞれの国を代表してここに勉強しに来ているという姿勢が強く出ていました。『ベトナム・ウィーク』でファッションショーをした時も、15人のモデルがいたのですが、私以外は留学生で、歩き方やポージングなどの表現の仕方に各国独特のものを感じて、そういった姿を見ていると、『私って、何かを代表してトライしたことがないな』と思うようになりました。海外から来ている人は「~から来た誰々」のように認識されますが、私は長期で留学したこともなく、自分の名前の前にそういうものが付いたことがない。そんなことを考えている時期に、街を歩いていてミス・ユニバース・ジャパン大分大会の関係者の方に声をかけられて、話を聞いて『勝ち抜けば大分の代表として活動できるこのチャンスに今、挑戦するべきだ』と思いました」

飯田葉月さん写真3

大分大会のオーディション通過後、2か月間におよぶ厳しいビューティキャンプに参加、ファイナルで見事、大分代表の座を勝ち取りました。日本大会へ向けたさらなるトレーニングに参加すると同時に、大分代表としての活動に従事します。

「小中学校の生徒や経営者の方たちに向けての講演会を行うことで、人前で話すことに慣れたり、どう話せばより伝わるかを考えたりするようになりました。普段歩いている時や立っている時の姿勢も意識するようにもなったと思います。

大会を通じて色々な方と出会って話を聞いたりするうちに、相手の年齢をあまり意識しなくなったとも思います。それまでは年齢が上の方と接するときは身構えていたと思うのですが、年齢ではなくその人の中身を見ようという思考になったと思います。海外へ行った時も、物怖じせず、相手の年齢限らずに出会った人とより深く仲良くなれるように変わったと感じます」

ミスユニバース大分大会優勝

“人生の楽しさを思い出させてくれる場所”

飯田さんのミス・ユニバースへの挑戦は、日本大会ファイナルで幕を閉じました。その後、他の大会へのエントリーの選択肢も考えたそうですが、その頃にはある仕事への興味がより大きくなっていました。

「海外から来たAPUの先生や大学院生のお子さんたちに日本語を教えるボランティアをしていたのがきっかけで、日本語教師になりたいと思うようになりました。そのような海外から来た子どもたちは日本語がわからないまま一般の小学校に通って授業を受けていました。二、三年しか日本にいない予定なのでそれでもいいと思われている方もいますが、子どもが学ぶ上で二、三年は大きいですし、日本語を学びながら、本当に学びたい理科や社会などの科目の内容を学べることができる体制が必要だと感じます。これからどんどん国際化して様々な背景を持った子どもたちが増えていくのに、インターナショナルスクールは少ないし、教育が時代に追い付いていけないのではないかと不安になりました。システムを作るのであればボランティアではだめだと思うので、海外から来た子どもたちや学生のためのシステムを将来作ることを見据えて、日本語教師になろうというのが理由です」

飯田葉月さんインタビュー写真

その第一歩として、選んだ場所もまた東南アジアでした。夏休みに日本語教育が盛んなインドネシアへ渡り、小中学校で日本語・日本文化を教えるボランティアを経験。現地の子どもたちや先生、スタッフとの交流を通じ、日本語教師を目指す気持ちをさらに固めます。

「2017年の4月から一年間、インドネシアのバンドンで日本語教師をします。その後は、大学へ戻り、卒業後はミス・ユニバースの仕事で知り合った方との縁がつながり、タイの学校に勤務する予定です。まずは5年間、日本語教師をやろうと考えています。その後は学校の経営に携わりながら、いずれ自分の考える教育システムを作れるようになれたらいいなと思っています」

大好きな東南アジアで楽しみな一年が待っている。

「東南アジアに行くと、笑っていることが多いですね。日本にいる時よりも時間の流れがゆっくりしていて、それが気持ちの余裕につながって心がほぐされる感じがします。東南アジアは私にとって、人生の楽しさを思い出させてくれる場所です」

飯田葉月さん写真4

(Interview: 2017年1月)

* * *

2017年2月、タイの南部ナコーン・シー・タンマラート県内にある中学校の学校説明会を手伝うために2週間滞在してきた時のこと。飯田さんが話を終えると、集まった200人ほどの生徒たちが次々に握手を求めて大騒ぎに。急遽始まった「ハイタッチ会」。

タイの中学校にて

日本語教師

飯田葉月さんがアジアの国々から引く手あまたの日本語教師として活躍する姿を見られる日も近そうです。

飯田葉月さんプロフィール



Profile:飯田葉月/Hazuki Iida


大分県出身。立命館アジア太平洋大学学生。
2016ミス・ユニバース・ジャパン ファイナリスト(大分代表)。 ベトナム、インドネシアでのボランティア活動を含め10の国と地域へ渡航。 2017年4月よりインドネシア ジャワ島西部バンドンにて日本語教師。
(プロフィールはインタビュー当時)

飯田葉月さんのインドネシアでの日本語クラスサポートボランティア経験については、こちらから


 

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